DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 プリント基板 内部表記 GC V1.2 2012 2nd Edition
ドライブ側の基板にはトランジスタが8個使用されています。解析ではトランジスタを四つ使用したベーシックなビッグマフ回路に1段目に2N3819をクリッピングに使用し、2段目に汎用整流用ダイオードでクリップしたAmber Overdriveと同じトポロジーが使われています。他のトランジスタはディレイ音量の入力調整に使用されています。ディレイ側との基板の間には裏蓋に絶縁用で使用されているものと同じシートが挟んでありますが、面したコンデンサに錆が発生しています。
ディレイ側の基板にはPT2399が2基の使用が確認できます。リファレンス番号はドライブ側の構成が違うため若干のズレがありますが、後に販売されたBluebird Overdriveとほぼ同じレイアウトが確認できます。同じようにディレイ1、2とリピート(フィードバック調整用)のトリマが備えられています。穴の周囲を∴で囲むようにはんだ付けされたトリマを見る限りBluebird Overdriveと同じ向きでトリマは付けられています。内部は同じV1.2基板の物を修理用に上げられた画像で確認してあります。2nd Editionとありますが、相変わらず操作性に難がある点は改善されていません。
本機は2012年に限定販売されたGolden Celloの正規輸入版です。元はアメリカの大手楽器店Guitar CenterとMusician's Friendにて限定で販売していました。その後、2次出荷分として当時のMAD PROFESSOR代理店LEP INTERNATIONALを経て、2015年ごろに日本にも僅かながら入ってきました。代理店のシールと、裏蓋のシリアルナンバー下に2nd Editionと貼られていることが確認できます。2nd Editionが何を指しているかは分かりません。代理店や公式にも詳細な発表は無いため、単なる2次出荷分を意味しているだけの可能性があります。基板の表記はV1.2 2012となっていますが、年代に変化が無いことから、最初に販売された2012年から変更がされていない可能性があります。実はこのペダルと同じく後に限定生産されたONEもですが、当時の海外ショップで売れ行きがあまり良くなく、半額以下の80ドル前後で在庫がダブついていたペダルだったりします。
Golden Celloの名称通り、本機はヴァイオリントーンで有名なギタートーンの理想像の一つ、エリック・ジョンソンの音をペダル一台で再現することをコンセプトに設計されました。
ドライブ側で使用されているBjorn Juhl(ビョルン・ユール)氏によるビッグマフの回路をベースとしたAmber Overdriveは、有志によるHW版の解析で内部基板にはEJFuzzと記されていることが確認できます。エリック・ジョンソンサウンドを再現するなら、彼が使用しているファズフェイスやチューブドライバーをベースにしそうですが、異なるトポロジーを持っていても、目的のサウンドに近づくために、回路にあえて固執しないのはとてもビョルン氏らしい設計と言えます。
ディレイ側は同社のDeep Blue Delayにも使用されるPT2399を使用しています。アナログ風な温かく、柔らかい反響音で、不足していたBBDにとって代わり一時自作界隈でもブームになったデジタルICです。アナログ風を謳った製品にはよく使用されていましたが、デジタル故の欠点があり、過大入力には変換処理が追い付かずに内部でクリッピングが発生してしまう弱点があります。症状としてはディレイ音のガサ付きや、ビリビリとした紙を破いたような音が発生します。入力段階でゲインステージをコントロールすることにより、この弱点が露呈しないように調整するのですが、当時を振り返ると「アナログエコー・ディレイらしい味」と称してあまり処理しきれていないペダルもそれなりに多く販売されていました。
本機はPT2399を二つ使用し、異なるディレイタイムを内部トリマにて設定できるようにしたMAD PROFESSORの既存の製品にない、テープエコータイプのディレイとして新しく設計されています。
テープエコーやアナログディレイはエリック・ジョンソンの音に近づけるためには必須ともいえる要素であり、空間系による丸みや温かさを加味したトータルバランスによってヴァイオリントーンは奏でられています。本人の代表的な使用機材と言えばEchoplexやDeluxe Memory Manですが、近年ではエコープレックスの再現ペダルCatalinbread Belle Epochを複数台使用しています。
コントロールはボリューム、トーン、ゲイン、ディレイの四つ。内部にディレイ設定用のディレイ1、2、リピート(フィードバック)、ディレイ側への入力音量を調整するためのゲインが備えられています。
ボリュームはドライ音とディレイ音をまとめて調整します。ドライブ側を最小にしても音はファズ感が残る潰れたクランチ程度に歪むためクリーンな設定にはできません。そのため前段に別のペダルを用意してGolden Celloをエコーとして使用することには向いていません。
このペダルの高域を調整するトーンや歪みは、以前の寄稿したAmber Overdriveの内容とほぼ同じとして捉えて頂いても問題ありません。ですが、入力インピーダンスの違いが僅かながら影響を及ぼしています。Amber Overdriveは45kΩですが、Golden Celloは70kΩです。ドライブ側の基板に追加されたディレイ入力の調整ゲイントリマの作用によりフィルターが掛かり、ハウリングと共にダイナミズムが少し抑えられています。そのためAmber Overdriveの方がよりヘッドルームが広く感じられます。
ボリュームはドライ音とディレイ音をまとめて調整します。ドライブ側を最小にしても音はファズ感が残る潰れたクランチ程度に歪むためクリーンな設定にはできません。そのため前段に別のペダルを用意してGolden Celloをエコーとして使用することには向いていません。
このペダルの高域を調整するトーンや歪みは、以前の寄稿したAmber Overdriveの内容とほぼ同じとして捉えて頂いても問題ありません。ですが、入力インピーダンスの違いが僅かながら影響を及ぼしています。Amber Overdriveは45kΩですが、Golden Celloは70kΩです。ドライブ側の基板に追加されたディレイ入力の調整ゲイントリマの作用によりフィルターが掛かり、ハウリングと共にダイナミズムが少し抑えられています。そのためAmber Overdriveの方がよりヘッドルームが広く感じられます。
ディレイはディレイエフェクトの音量に作用します。ディレイが不要な際は、最小設定にすることによりディレイ音のみをミュートにして、ドライブ側のみのエフェクトとして機能します。12時設定が原音より少し控えたディレイ音量ですが、最大でもドライ音と同量程度に留めています。最後にボリュームノブでまとめて音量を調整する設計となっているため、ドライ音を超えた音量には設定できない作りになっています。
ディレイ側の設定を調整したい場合は内部に設置されたトリマを操作する必要があります。
裏蓋を開けると2層の基板に穴が四つ開けられています。この直径2.5ミリ程度の穴に工具を通す必要があります。3ミリではギリギリすぎて基板を削る可能性があるため、お勧めしません。構造上、本来差し込んで回す側の反対から回すことになるため、スリットのサイズにあったマイナスを使用しないと、簡単に削ってなめてしまいます。小さすぎてもスリットを削るため、非金属性の物の使用を推奨します。深さもあるためドライバの先に角度が付いていると3ミリを超えて、スリットにうまく掛からない可能性があります。また、取説では電源が入った状態で裏蓋を開けたトリマ操作はショートの危険性があるため推奨していません。
Bluebird Overdriveの寄稿でも触れましたが、操作させる気が無い設計です。本機Golden CelloとONE、そしてBluebird OverdriveとMAD PROFESSORでは複合機が続きましたが、これらのレビューに内部トリマーの操作性に触れたレビューがほぼ皆無なのもうなずける不親切さです。本機は近年中古で入手した個体でもあるため、初期設定の確信が持てないため、ネットのレビューや動画を片っ端から見て、内部トリマの初期位置に触れている部分だけを探しましたが、残念ながら確信できるものはありませんでした。
手掛かりとなるのが、マイナーモデルでもアーカイブとして情報が残されているサイト『effectsdatabase.com』に上げられた内部画像と、本機と同じGC V1.2 2012での海外の中古商品画像の内部トリマの位置が一致しているため、恐らくこの設定が初期設定では無いかと思います。私の個体のトリマ位置を確認するとGainとRepeatはほぼ動いていないですが、Delay Time1と2が完全に逆向き、本来(仮)の↖が↗へ向いてディレイタイムが短く設定されています。実際弾いてみても、多くのレビュー動画に比べてテンポが速いため、Delay Timeを↖側に揃えた位置が初期設定な気がします。公式に出荷時の設定がアナウンスされていないため確証はできませんが。参考までにとどめておいてください。
まず奥の基板に備えられたゲインですが、PT2399の限界処理を超えた入力を抑える働きをするため、下手に操作するとディレイ音のノイズの発生に繋がります。操作では左に回すと増幅、右に回すと入力を制限します。少し不安定だと感じたら右に回すと安定する可能性がありますが、音量が下がり最低値ではミュートされます。このコントロールが備えられていなかったことも一因だったのか、オーバードライブとディレイの複合機であるBluebird Overdriveでは低域帯においてノイズが発生していました。内部のコンデンサの劣化も一因として考えられるため断定は避けさせていただきます。
この設定だとディレイ1と2は同じ位置でディレイタイムのズレはありません。同じタイミングで反響が返ってきます。正確なディレイタイムを再現する場合は同じ位置に設定を合わせる必要がありますが、少しずらしてややルーズなビンテージエコー感を再現することもできます。画像の設定だとやや早い設定です。↗に傾いたスリットを↖のように左へ回すとディレイは遅くなります。トリマはポッドと同じかまぼこ型の可変域を備えていますが、あまり回しすぎると簡単に破損するため自己責任で慎重に操作してください。
リピートはフィードバック量の設定です。最大でも発振してトリマを操作しないとフィードバックが減少しなくなるような過度な調整はできないようになっています。こちらもトリマを裏から回す形になるため操作は反転しています。トリマを左へ回すほどフィードバックが上昇します。加減させる場合は右へ傾けてください。
操作して感じたのは、Bluebird Overdriveと違い、アタックに感じるザラッとしたノイズは感じられますが前段にイコライザーで低域をブーストさせたり、ドライブを最大にして歪ませてもPT2399が引き起こすクリップによるビリビリとしたノイズが抑えられています。サスティンにノイズが混入しないため、アンビエントなフレーズにもストレスなく弾くことができました。完全にドライブ側の設計に合わせたディレイの設計になっていいます。
総評としては手軽にエリック・ジョンソン風が再現可能なペダルでした。アンプとギターと本機だけで誇張無しに「Cliffs of Dover」風のサウンドが作れます。
本格的なエリック・ジョンソン風な音を再現しようとすると実は色々と準備が必要で、リードではTube DriverとEchoplex系エコー、バッキングではTS系とファズフェイスにデラックスメモリーマンといったように、個別の電源回りや大型のペダルを多く使用しているため、手軽に環境を整えられるものではありません。本機は空間系側の操作が一度決めた設定から容易に変更できないこともあり、多くの楽曲のエリック・ジョンソンの音を再現できるペダルでは無いですが、ファズと空間系を合わせたヴァイオリントーンに触れる切っ掛けとなるペダルとしては打ってつけなペダルです。
ここから拘りたい人は、自分で別途ディレイやエコーを揃えたり、歪みにもう少しバリエーションを増やしたりと拡張していけばよいと思います。
リピートはフィードバック量の設定です。最大でも発振してトリマを操作しないとフィードバックが減少しなくなるような過度な調整はできないようになっています。こちらもトリマを裏から回す形になるため操作は反転しています。トリマを左へ回すほどフィードバックが上昇します。加減させる場合は右へ傾けてください。
操作して感じたのは、Bluebird Overdriveと違い、アタックに感じるザラッとしたノイズは感じられますが前段にイコライザーで低域をブーストさせたり、ドライブを最大にして歪ませてもPT2399が引き起こすクリップによるビリビリとしたノイズが抑えられています。サスティンにノイズが混入しないため、アンビエントなフレーズにもストレスなく弾くことができました。完全にドライブ側の設計に合わせたディレイの設計になっていいます。
総評としては手軽にエリック・ジョンソン風が再現可能なペダルでした。アンプとギターと本機だけで誇張無しに「Cliffs of Dover」風のサウンドが作れます。
本格的なエリック・ジョンソン風な音を再現しようとすると実は色々と準備が必要で、リードではTube DriverとEchoplex系エコー、バッキングではTS系とファズフェイスにデラックスメモリーマンといったように、個別の電源回りや大型のペダルを多く使用しているため、手軽に環境を整えられるものではありません。本機は空間系側の操作が一度決めた設定から容易に変更できないこともあり、多くの楽曲のエリック・ジョンソンの音を再現できるペダルでは無いですが、ファズと空間系を合わせたヴァイオリントーンに触れる切っ掛けとなるペダルとしては打ってつけなペダルです。
ここから拘りたい人は、自分で別途ディレイやエコーを揃えたり、歪みにもう少しバリエーションを増やしたりと拡張していけばよいと思います。
本機は既に生産を終了しています。パーツに錆が発生していることもあり、再販するのならばサイズに余裕を持たせた表面実装化と内部コントロールの改善を期待したいですが、再販は望み薄だと思われます。
私は商業的に見て、MAD PROFESSORの複合三作は失敗だったのではと見ています。挑戦的な取り組みでしたが、販売当初の売れ行きはあまり良くなかった印象です。台湾製とはいえ内部のコストもかなり掛ったのではと思います。それでいて価格は$200以下とレギュラー品の価格に抑えています。
ですが、当時の$200はペダルをあまり買わない層からすれば高く感じられる声もあり、コンセプトとしたエリック・ジョンソンや「One」におけるヴァン・ヘイレン風のサウンドを再現するには耳が肥えたプレイヤーが多く、トポロジーから一致していないと中々評価を得づらいのが現状です。本格志向派と、音も価格も手軽派の丁度引っかかりにくい価格設定になってしまい、売れ行きが振るわなかったのではと邪推してしまいます。近年では「One」に続いて値段が上昇傾向です。歪みのみを試してみたいのでしたら、通常版Amber Overdriveをお試しください。
参考資料:effectsdatabase.com Golden Cello trimpot
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