LOVEPEDAL JUBILEE


2016年発売 白いボディに黒いノブ MXR筐体 青LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 赤いプリント基板 スルーホール構成

パワーアンプICのJRC 386Dを使用しています。基板はPurple Plexi SEを流用しています。ドライブ部分のポットの基板表記は100K?と同じになっています。ポットの値を確認するとVOLUME『A100K』TONE『B50K』DRIVE『A250K』となっています。Purple Plexi SEとはボリュームのカーブとドライブの値が異なっています。Purple Plexi SEではコンデンサの追加が確認できましたが本機Jubileeにはそのような箇所は無く、抵抗やコンデンサの容量も全て同じです。ポットの抵抗値を変更しただけのPurple Plexiという解析情報もありますが、Purple Plexiの現行品を手元に置いていないので実際には確認できません。ですが、Purple Plexi SEの仕様を見るにその可能性は高いです。


本機はLOVEPEDALのいわゆる特定のアンプをイメージして作られたアンプ・イン・ア・ボックス系ディストーションです。Marshallが1987年に製造した希少アンプ「Silver Jubilee」のサウンドをインスパイアして作られたとされていますが、デザインはPlexi系をモデルとしたPurple Plexiと共通しており、内部構造の類似からもLOVEPEDALが展開しているPurple Plexiシリーズのバージョンの一つと言えます。

本機の外見は白い下地に印刷されたシンプルなデザインですが、2017~2019年辺りに作られた後期型です。この時期のLOVEPEDALは白い下地に、本機でも使用されているような鋭角なノブを使ったデザインのペダルを(例Eternity D Mod・ Purple Plexi SE) 数多く生産していました。本機の購入は2度目であり、販売初期はSilver Jubileeをイメージした無塗装のアルミ筐体に本機のデザインをプリントしたもので、私が最初に購入したものはノブがクローム仕上げの物でした。

Jubileeは真空管アンプですが、ダイオードクリップを追加で加える機能が備えられており、当時の既存のアンプをさらに歪ませることを狙った特殊なアンプでもありましたが、後にスラッシュ(Guns N' Roses)が愛用していたこともあり、今ではレギュラーアンプの一つとして販売されています。元々Purple Plexiはギター側のコントロールと合わせれば、初期のJTMからJCM900まで再現可能が売りとしていましたが。本機にはクリップ追加などは行われておらず、ポットを変更するだけでJubileeスタイルとして販売してしまうのはLOVEPEDALらしい販売戦略と言えます。


コントロールはボリューム、トーン、ドライブの三つ。
比較に姉妹機にあたる、Purple Plexi SEを使用しました。

ボリュームは、全て12時の設定では12時付近がユニティゲインとなりました。Purple Plexi SEと同じサーキットを使用していながらも、ポットのカーブが違うため出力は控えめに感じられますが最大音量もほぼ同じと言ってよいかと思います。ドライブを最小まで絞り、ボリュームを最大まで上げると原音より音量は稼げています。完全なクリーントーンまでは行きませんが、僅かに歪んだクリーントーンで、Purple Plexi SEと比べると中域の飽和感が無いため、和音で歪みにくいです。ひとによっては少しスカスカな印象を受けるかもしれません。過去に使用したPurple Plexiではここまでクリーンにはならなかった記憶があるのですが、このサイズの筐体に変更してから扱いやすくしたとLOVEPEDALの商品説明にもあるので、現行Purple PlexiもJubileeに近い挙動をするのではないかと推測します。

トーンは高域をカットするための調整で、左に回すほどカットされます。歪みの質にも影響があり、左に回すと奥まった中にジャリっとしたキメ細かさが出てきます。逆に高域をオープンにするため右に回すと、歪みが荒くブライトな音へと変化します。このノブは左右に極端に回しすぎるとホワイトノイズが気になります。最大値より少し抑え気味な設定が良さそうです。ここの動作はポットの値もPurple Plexi SEと同じでほぼ同じ動作です。Purple Plexi SEと比べると、Jubileeは高域が伸びる代わりに中域がスッキリした印象で、タイトな印象を受けます。

ドライブは歪みの調整です。12時あたりでは大人しめのオーバードライブですが、クリーンからディストーションまで歪みます。雑味が少なくソリッドな歪み方をしますが、やや平面的と取られるかもしれません。弦をつま弾いた瞬間から少しの間だけジュワっとしたにじむような癖のある歪み方をします。これはPurple Plexi SEでも同じ特性が表れてはいますが、中域が厚いためあまり目立ちません。しかし、Jubileeは高域よりでクリアでキレを重視しているためこの特性が目立ちます。Purple Plexi SEより少しだけ歪んでは聞こえますが、現代的なハイゲインまでは歪みません。原音に忠実な分少し細くも感じられます。

ボリュームの追従性もPurple Plexi SE同様、ギター側のボリューム操作で歪みをコントロールできます。元がスッキリした音色なため、Purple Plexi SEに比べると変化は少なく感じますが、よりクリアな音像を作ることはできます。このペダルは過度に歪ませて使うこともできますが、高ゲイン設定からギターボリュームを絞ってオーバードライブとして使用するなど、ギター側でゲインを落とす調整も念頭に入れて操作すると幅が広がるペダルです。

Purple Plexi SEと全12時設定で比べるとポットが違うため全く別のペダルに感じられますが、特性を理解して同じ設定を探すと、非常によく似たペダルであることが分かります。Purple Plexi SEは和音で弾くと中低が厚いため太く、少しだけ音量がJubileeより高く聞こえます。対するJubileeはキッとしたシャープな歪みで、タイトに刻むリフやバッキングなどには向いていそうです。原音に忠実とも言えるのでニュアンス重視のローゲイン設定も悪くありません。ゲインが低いと特徴的な歪み方も目立たなくなります。


本機は既に生産終了しています。Purple Plexi SEと同様スポット生産的な商品でしたが、通常版Purple Plexiと構造の違いは少ないため、再生産される可能性は高いと思われます。ポットを変更しただけですがSean Michael(ショーン・マイケル)氏がJubileeアンプをイメージとして販売していることは事実であり、ショーンのセンスがそう感じたんならJubileeと認めるか、LOVEPEDALが多用するチューニングの妙に異論を唱えるかで評価は分かれそうですが、LOVEPEDALとはこういうメーカーなんだなということを、あらかじめ知っておくことで受け止め方は変わると思います。
私はLOVEPEDALの製品はそれなりに触れてきたので慣れっこですが、そのペダルが何をテンプレートにしているかの確認(もしくは興味)が取れたら、OCDのバージョン違いを買うような感覚で購入しています。
メーカーの癖を最初から分かっていれば『外観が同じで中身が少し違う』ペダルや、『見た目が違うが中身は同じ』ペダルよりも、『違う見た目で、少し違う』ペダルを買うの方が私は退屈しないと思っています。ですが、人によっては『見た目が違うけど同じもの』と扱われてしまうことも事実です。