2015年製 鮮やかなオレンジ色の塗装 MXR筐体 赤LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 プリント基板 内部表記 AOD V1.0 2015
オペアンプなどのIC類は使用されていません。オーバードライブにしてはトランジスタの数が多く六つ確認できます。BC550Cが三つ、Fairchild製 2N5485が一つ確認できます。クリップ部分のダイオードはかなり詰めて配置されているため、完全には読み取ることはできませんでしたが、解析では2N3819を二つ使用しているようです。目視でFairchild 2N3までは読み取れるのでおそらく解析の通りとして扱います。2段目には汎用整流用ダイオードが使用されています。
本機はビッグマフをベースに、一段目のクリッピングにJFET 2N3819 2段目に1N4007使用して歪みにドライブ感を加えています。同じビッグマフをベースにした同社のペダルとしてはFire Red Fuzzが挙げられますが、あちらはディストーションとファズの間のような調整に対してこちらは、オーバードライブとファズの中間といった設計思想です。似たような設計にトランジスタを8個も使用したSkreddy PedalsのTop Fuelを思い出しました。
筐体にオーバードライブと表記されていますが、本機の入力インピーダンスは45kΩととても低く、前段に接続するペダルやボリューム操作の影響を受けやすいファズに近い設計となっています。
本機はギターサウンドの一つの完成形、なめらかなコンプレッションと、歌うように伸びやかなリードトーンを再現することに注力して設計されています。メーカー側のイメージとしてはデイヴィッド・ギルモア、エリック・ジョンソン、レスリー・ウェストなどを上げています。彼らに共通する機材は実はそこまで多くは無いのですが、ドライブさせたファズサウンドというのは一貫しています。特に本機はヴァイオリントーンでお馴染みのエリック・ジョンソンを意識したデモが多いのが特徴です。
Amberといえば琥珀ですが、エリック・ジョンソンの名曲「Cliffs of Dover」はイギリス南東部ケント州のドーバー海峡に面した、白亜(チョーク)でできた大断崖絶壁を意味します。白亜紀の地層から連想される琥珀というイメージもさることながら、ヴァイオリンに使われる琥珀色の松脂など、様々な繋がりを連想させるネーミングだと思います。
また、本機の歪みセクションにおいて回路構成に類似が確認できるペダル「Golden Cello」がMAD PROFESSORから前年の2012年にアメリカの一部楽器店限定品として販売されていました。名称はチェロとなっていますが、弓で弾く弦楽器の重厚さと、伸びやかなリードトーンを再現したヴァイオリントーンにインスピレーションを受けて作られたペダルで、『エリック・ジョンソン・イン・ア・ボックス』などという前評判で販売されました。Golden Celloとの回路上の類似はMAD PROFESSOR側も本機Amber Overdriveの製品説明で認めています。
コントロールはボリューム、トーン、ドライブの三つ。
ボリュームの音量は全て12時設定だと原音より大きいです。私の環境では11時ごろがユニティゲインとなりました。このペダルの出力はとても高く、ドライブが最大の状態では、ボリュームが3時付近でもハウリングが発生します。ドライブを最小まで絞った状態でのユニティゲイン位置は1時ごろでした。クリーンにはならず音にファズ感を感じます。
トーンは12時をフラットとして高域の増幅・増減を行うシェルビングな動作をします。既存のビッグマフのトーン可変域とは異なり、最小にしてもある程度は高域は損なわず、使える範囲に留めています。高域側に上げても過度な増幅とは行きませんが、ドライブが高い設定ではクリスピーさが増して、荒らしさが出てきます。
前段にバッファータイプのローインピーダンスなペダルを接続する際はハイ~ミドルが先鋭化するため、少し抑え気味が良い取説に記載してありますが、私も同意できる解説だと感じました。
ドライブですが12時地点でも既に歪んでいます。ビッグマフらしい伸びるサスティンが感じられますがジャキっとした歪み方で、ビッグマフの粒子が細かいスプレーを噴いたような歪み方ではありません。12時以上に上げても中域が感じられる自然な歪み方を崩していません。ファズらしさは感じますが、ビッグマフと違い低域がスッキリしています。最小でも歪んでいますが9時ごろでもオーバードライブの領域までしっかり歪んでいます。低ゲイン設定でのボリュームに対する追従性は、私はそこまで良いとは感じられませんでした。歪みの調整は可能ですが結構極端に変化します。完全なクリーンにはできません。
総評としては、音色と倍音をより自然な形に整形した、ローゲイン設定で扱うビッグマフです。オーバードライブ要素もあることはありますが、ある程度ドライブを上げて使用するのがサスティンの伸びを感じられて弾いていて心地が良いと私は感じました。コード引きでも粒立ちが良く、分離がよいです。ビッグマフのような微細でローエンドから影のように伸びる歪みは再現できません。トーンの効きが緩やかなので過度な設定もできません。
エリック・ジョンソンらしいかと言われれば、ちょっと歪みが硬い印象を感じられました。全体的に明るく、アタックが少し強めに出るため、ギター側のトーンを少し下げて、ディレイやリバーブである程度音像の角を取ってやるとより近づくと思います。
本機はハンドワイヤード版と共に既に生産を終了しています。本機は後日販売されたMAD PROFESSOR公式MODによるバリエーションが存在しています。高域を整理して低域をさらにボトムアップして、ベースでの使用を想定した「For Bass MOD」と、よりファズへと接近し、倍音をより豊かにしたとされる「Midas Touch MOD」が存在しています。外見上は通常モデルに(CUSTOM)表記が追加されただけで判別が難しいですが、裏のシリアルナンバーが記されたシールにどちらのMODか記載されています。筐体を見る限りファクトリー版を元に改造していたようですが、これらも既に販売終了となっています。
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