MAD PROFESSOR Simble Overdrive

MAD PROFESSOR Simble Overdrive
MAD PROFESSOR Simble Overdrive 全体像

2014年製 ウッディなデザイン MXR筐体 暖白色LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 プリント基板 内部表記V1.1 2013 スイッチ周りに修正箇所あり

はじめに、本機はスイッチ周りに後から追加されたと思われる抵抗とトランジスタが見受けられます。MAD PROFESSOR本社にメールにて尋ねたところ本機Simbleは、最初はバッファードバイパスを採用していましたが、アップデートに伴いトゥルーバイパスに変更されました。基板が更新されるまでの短期間はこのような形でアップデートしていたと回答をいただきました。この状態のSimbleを入手しても、無改造の正規品として安心して使用できます。これに伴い、初期に発生していたLED点灯の遅延も修正されています。また、内部表記V2.1以降ではスイッチの周りの基盤が新しいものに更新されていることを確認しています。

回路設計者はLassi Ukkonenラッシ・ウッコネン氏によるものでフィンランドの企業MAD PROFESSORから発売されたモデルです。同ブランドといえばBjorn Juhlビョルン・ユール氏が回路設計を行っていることが有名ですが、本機には携わっておらず、筐体カラーや命名規則から外れています。

筐体に木目調なグラフィックが印刷されたデザインは、このペダルが持つオーガニックやアンプライクといったサウンドイメージを表現しています。Simbleというモデル名はDumbleを捩ったもので、MAD PROFESSORが明確にDスタイルと表記しているただ一つのペダルです。サウンドの基準の一つとして、ロベン・フォードのアルバム「Talk to Your Daughter」が明言されています。

ラッシ・ウッコネン氏はTriodipajaというフィンランドのコウヴォラ県クーサンコスキでアンプの修理・メンテナンスを専門とする工房を構えている職人です。エフェクトペダルの改造も行っているようです。これは持論ですが、アンプの修理・製造・調整の仕事をしているビルダーが作るペダルは良いものが多い、という法則があるように感じます。

コントロールは、センシティビティ、レベル、アクセント、コンツァーの4つ

Sensitivity(感度)はゲインに相当します。歪みの深さはディストーションまでは歪みませんが、Zendrive以上に歪みます。わざとらしい耳障りな高域は無く、中低域がどっしりとしたウォームな歪みが特徴です。左に回すとコンプ感が増し、音量が下がります。
Accent(強調)は名前の通りピッキングアタックの感度を強調させるノブです。右に回すにつれて高域を強調しますが、同時に高域成分にゲインが増加する傾向が感じられます。セッティング次第では左に回し切った0の状態でも使えます。
Levelは音量で、全てのノブを12時設定した際はユニティゲイン位置となります。他のノブの影響を受けやすく、特にSensitivityの設定次第ではかなり音量が低くなります。マニュアルに記載されたクリーンブーストとして使用する際のセッティングのように、Sensitivityノブを左に回し切った0の状態では、Level最大位置でもブースターとして音量を稼ぐことはできませんでした。常時かけっぱなしのバッファー的な用途でしたら問題ない音量です。歪ませて使う分には十分な音量を稼げます。
Contour(輪郭)は最終的な出音の高域分を微調整するノブとなります。作用する影響は一番少ないですが、右に回すと倍音に厚みが加わり、微かにゲインが上がります。

本機をZendriveと比較すると、全体的にローミッドが厚く、歪みにも音圧があります。各ノブの効きがよく、歪みの可変幅も広いです。高域成分は抑えているため、クランチーなジャリっと感は控えめです。ノイズは抑えられており、セッティングに左右されず安定しています。
中域にフォーカスしたウォームなオーバードライブが得意ですが、Accentで高域を強調させると歪みの質も変化してしまうため調整が必要です。ギター側のボリュームやトーンも活用するとよい結果が得られると思います。とても良く設計されたダンブル系ペダルです。

MAD PROFESSOR Simble Overdrive 問い合わせをした内部基板

木目調の筐体でMAD PROFESSORの中でも異彩を放っていた本機ですが、既に生産終了しております。MAD PROFESSORでは往年の数多くのモデルが生産終了しており、本機もその一つでしたが、2025年にSimbleⅡとして再販売されました。外見は従来のシリーズに合わせた赤い単色カラーになりました。機能面でも改良が加えられ、高域の可変幅を増やし、不足していたブライト感の改善や、ヘッドルームの増強などが挙げられます。また2026年現在、SimbleⅡはロベンのペダルボードで長年愛用されたZendriveと交換され、実際に使用されています。