MXR M77 CUSTOM BADASS Modified O.D.




2011年製 ヘアライン加工した下地に黄色い塗装 MXR筐体 赤LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 赤い表面実装基板 内部表記 ASSY REV (B1) 03/14/2011 ABシリアル

オペアンプはMC33178が二つ確認できます。MXR製品ではSD-1がモデルとなったMXR ZW44 Wylde Overdriveでも同様の物が使用されていました。一枚目の基板を見る限り非対称クリップのようです。本機は基板構造が2層となっていますが表面側のみを確認しています。


本機は2011年よりシリーズが開始されたMXRカスタムチームによる「BADASS」シリーズの第二弾として販売されました。主導となって開発を担当したのはWay Huge Electronicsの創業者・開発者のJeorge Tripps(ジョージ・トリップス)氏です。第一弾のM78 '78 DISTORTION ではBOSSの名機DS-1をベースにハイコストパフォーマンスな一台を仕上げてきましたが、第二弾はオーバードライブペダルとなります。基板の日付や、当時出した動画でも一緒に使ってセッティングをしているため、並行して開発していた模様です。

本機はクラシックなオーバードライブ回路をベースに改造した製品として販売されましたが、具体的にはどのペダルを改造したまでは公表していません。ですが、ヒントとして型番のM77を由来するオーバードライブとしてBOSS OD-1がベースとなっていると考えられているのが定説です。77年はBOSS OD-1が販売された年です。機能的にはその後、トーンが追加されたSD-1にも近いため、OD-1もしくはSD-1系とカテゴライズされます。ちなみにTS系との違いは端的に言えばクリップが対象か非対称かであり、本機やOD、SDは非対称クリップが採用されています。

OD-1はこれまた名機の中の名機で、特に近年ではクワッドオペアンプを採用したごく初期の個体は高値で取引されている傾向があります。後期型は所謂艶ありデュアルオペアンプ搭載という付加価値で販売していますが、クワッドタイプの半額ほどで取引されています。音の違いではクワッド期はクリアで明るい、ICベースの作りとなっているのに対して、デュアル期は角が取れた丸い音とされています。参考までにMODの第一人者であるアナログマンのマイク・ピエラ氏曰く、クワッドとデュアルではコンデンサの値が異なっているため、デュアルでは低域成分を損ねてしまっていると指摘しています。
私は過去に艶ありタイプのOD-1を所持していましたが、SD-1と比べて少し大人しく感じるけど、これならSD-1でも代用できると手放してしまったため、現在は比較できません。SD-1はZW44 Wylde Overdriveが作られることになった原因でもあるように、低域をバッサリとカットする特徴があります。その年代による変化に対応するために効いてくるのが、本機に追加された100HZのノブとBUMPで、拡張されたコントロール類はジョージ・トリップス氏らしい設計とも言えます。


コントロールはアウトプット、トーン、ゲイン、100HZの四つ。中域を強調するBUMPスイッチが一つ。

比較には同じMC33178を使用し、SD-1をモデルとしているZW44 Wylde Overdriveを使用し、最初は両機とも全てのノブを12時で比較すると、Modified O.D.のほうが低域がスッキリしていたため、低域を増減させる効果に働く100HZノブを12時から2時ごろに増幅させる設定にしたところ、倍音も含めてほぼ同じ音色に変わりました。この状態で主な比較は行いました。

アウトプットは音量調整です。全て12時スタートだとユニティゲインより若干低く感じられました。この辺りはZW44と同じです。この設定では右に音量を稼いでも、それほど音量変化は感じられません。ゲインと100HZの設定に最大音量は左右されます。ゲインを最小まで絞った状態では、アウトプットを最大まで上げてもZW44 Wylde Overdriveと同じように、完全なクリーンにはならず、音量もユニティゲインと同量くらいであまり稼げません。この状態ではBUMPスイッチの効き目も薄く僅かに音量が上がる程度です。

トーンは高域を調整する増幅・増減が可能なアクティブ回路です。12時スタートと説明書にあるように、12時フラットで調整していきます。この効きもZW44 Wylde Overdriveとほぼ同じ動作になります。SD-1と比較した際は、SD-1側はミドルが若干低く感じられましたがModified O.D.との比較でも、トーンを極端に寄せた設定ではSDほどではないものの、微かにミドルが薄く感じられます。

ゲインの歪む具合は両機とも同じ可変幅です。ZW44の方が過剰に歪むといったことは感じられません。SD-1などと同じ範囲に収まっていると思いますが、100HZを上げると低域がかなり上がるため、より歪んで聞こえる場合があります。

100HZノブがこのペダルの音作りの要となるノブになります。12時を起点として、通常SD-1のような低域をカットしたい場合はそのままか、12時より左側に設定。逆にZW44のように低域をある程度残したい場合は右側へ。ZW44くらいに留めておくならば、ある程度の調整で良いです。3時まで回してしまうと逆に上げすぎて不自然になってしまいます。逆に左に過剰に回してカットしすぎてしまうと、低域がスカスカでローファイな安いラジカセスピーカーのようになってしまいます。とても効きが強いノブなので、使用しているピックアップに合わせた調整が可能です。

BUMPスイッチは中域をプッシュするスイッチで、設定次第では中域が盛り上がるため音量が上がります。トーンを絞っていると基本の高域がカットされているため、ボリュームアップの効果は薄く感じられます。中域がブーストされ音が太く、音量も上がりますが、逆に明度は下がるため歪みの解像度は少々ぼやけます。説明には中低域がアップするとあるのですが、低域はそれほど増量していないように感じられました。100HZノブでの低域カットの方が優先されて機能しているようです。BUMPモードがオンになるとエフェクトオフ状態でも青色の高光度LEDが点灯した状態になります。

総評としては、100HZノブがこのペダルの拡張性を担っています。EarthQuaker Devices WestwoodのベースEQを増設したSD-1のような感じです。しかし、あちらはトランスルーセントなペダルを自称していることもあり、音にとても忠実な設定もできるためModified O.D.では代用には決してなりません。あくまでOD-1、SD-1をベースにサウンドメイクを拡張させたオーバードライブとして高い完成度が感じられます。


本機は現在も生産されています。BADASSシリーズも現在も継続し、新機種をラインナップに加えています。M78 '78 DISTORTION共々このペダルはコスパがとても優れており、当時の国内店頭価格は1万円前後、中古相場では5千円程度でした。実機で比較していないためビンテージOD-1の完全な代用になるとは言い切れませんが、オーバードライブペダルとして設定範囲が広く優秀でお勧めできます。BADASSシリーズは次作からはSUPER BADASSとして新たなペダルを開発していきます。