2013年製 筐体下地が透けた緋色の塗装 MXR筐体 赤LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 プリント基板 内部表記 FRF V1.0 2013
基板のレイアウトがAmber Overdriveと共通する箇所が多いですが、本機の方が先に生産されました。トランジスタは六つ確認できます。BC550Cが三つ、Fairchild製 2N5485が一つ確認できます。クリップ部分のダイオードはAmber Overdriveと同じく、詰めて配置されているため、完全には読み取ることはできませんでしたが、解析では同じ2N3819を二つ使用しているようです。Fairchild 2N3までは確認できますので恐らく解析通りだと思われます。
Amber Overdriveには使用されていなかった、緑の100uFフィルムコンデンサの付近に位置する、2段階目クリッパー部分に1n4148の使用が確認できます。
本機はビッグマフをベースとしたモダンスタイルなファズです。歪みを調整することにより主にディストーションからファズまでの歪みをカバーします。回路設計はBjorn Juhl(ビョルン・ユール)氏によるものです。ビョルン氏の個人ブランド『BJFE』から引用されたものでは無く、MAD PROFESSORと協力してから新たに設計された回路とされています。
本機は先にハンドワイヤード版が販売された後に、台湾にて生産されたファクトリーライン製造の製品です。ハンドワイヤード版は2009年頃には販売を開始ししていましたが、2010年から台湾の工場での生産がラインが開始され、Fire Red Fuzzは2013年にFAC版として販売されるようになりました。MAD PROFESSORのハンドワイヤード版はFAC版に比べて色が濃く、Fire Red Fuzzも真紅のような色をしています。
対する本機は少し黄色が入った朱色~緋色をしています。塗装が薄い分、下地のマテリアルが透けるため、見る角度や光源によって印象が変わります。Fire Red Fuzzという名称は直感的なイメージから付けられたのでしょうか?ビョルン氏設計のペダルは色と関連付けられた命名を数多く残しています。ちなみに「Fuzz」と製品名に明確に記されたMAD PROFESSORのペダルは実は本機のみだったりします。
コントロールはボリューム、トーン、ファズの三つ。
ボリュームは全て12時の設定だと音量はかなり高めに感じられます。9時を少し過ぎた辺りがユニティゲインとなりました。ボリュームが12時設定でも、ファズを3時まで上昇させたあたりで弦に触れていないとハウリングが発生しやすくなります。最大でもミュートにさえ気を遣えば扱える範囲に留めています。ファズを最小まで絞った状態では12時頃がユニティゲインとなりました。アタックにコンプレッションが感じられ、クリーンな設定にはなりません。
トーンは12時をフラット基準にした、ビッグマフの標準仕様となっているハイパスとローパスを合わせたトーン回路です。左に回すと高域がカットされ、低域が前にでてくるスムースな音像に変わり、右に回すと低域がカットされ高域が強調されたエッジのあるメタリックな質感に変化します。ファズの設定位置で調整を加えて音像を整えてやるのですが、既存のビッグマフにありがちな、低域寄りがモコモコになりすぎて音が抜けにくいということは抑えられています。
ファズは歪みのテクスチャーの調整です。クリップにJFETを使用したことにより、既存のビッグマフより倍音にジューシー差が感じられます。ギャリっとした高域と、整理されつつもしっかり伸びてくる低域が同居しているなか、より中域に厚みが加わったような感じを受けます。芯が太く、音はより前に出ているため抜けの良さはあります。ファズを上げるとアタックによるエッジの立ち上がりにビッグマフらしさがより表れてきます。
総評はビッグマフに倍音成分を足した、リッチ感のあるファズといった所でしょうか。既存のビッグマフに比べて音色に厚みが加わっているため、それを良しとするかで評価は分かれるかもしれません。自然な暖かみがプラスされているともいえますが、のっぺりとしたきめ細かなスムースさには少し欠け、ストーナーやドゥームっぽさは無いといえます。音像がブライトよりで賑やかです。ただ高ゲイン、高ハイ設定での攻撃的でメタリックなファズは備えています。
MAD PROFESSORには同じビッグマフを元にしたAmber Overdriveがありますが、ベースは同じでも目指す方向が全く違うため、両者の歪みを再現することは不可能と言えます。
本機はハンドワイヤード版と共に現在は生産を終了しています。私の印象では本機は少し印象が薄かった製品に思えます。販売当初に回路がよりビッグマフに近いペダルということを前面に出していたら、売れ行きや認知もまた変わっていたのではないでしょうか。再評価してみると、MAD PROFESSORにも良質なマフスタイルのペダルを出していたんだなと気づかされます。
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