MAD PROFESSOR Stone Grey Distortion


2011年製 筐体下地が透けたグレーの塗装 MXR筐体 赤LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 プリント基板 内部表記 SGD V1.1 2011

TL051CP シングルオペアンプを使用しています。フィードバックループにJFET 2N3819を二つ使用したクリッピング。その後CMOS ロジックICのCD4069UBEインバータに入って増幅・加工を行うという、独創的な設計となっています。使用しているコンポーネントも、現在では入手しづらいものが使用されいます。

MAD PROFESSORのファクトリーラインから販売された機種で、ハンドワイヤードバージョンは存在していません。設計はBJFEのBjorn Juhl(ビョルン・ユール)氏によるものです。ハンドワイヤードからFAC版が販売されたモデルの多くは、BJFEで作られた物をMAD PROFESSOR用に改良したものが多くを占めているのですが、本機はBJFE製ハイゲインディストーションCliff Hanger Ⅰ・Ⅱと共通する点が多いのが特徴です。シングルオペアンプとCMOSを搭載していますが、Cliff HangerではJFETによるクリッピングは使用していません。

MAD PROFESSORのファクトリーラインは2010年から台湾で生産が開始されました。本機はその翌年から既に生産が開始されている、古参モデルの一つとも言えます。
MAD PROFESSORにはすでにディストーションとして、Mighty Red Distortionという機種が創業当初からラインナップされていました。
この1つ$10する高級ICを使用し、低ノイズを実現した中低域が太いディストーションに対して、本機Stone Grey Distortionはより高域によせ、よりハイゲイン。公式からは7弦ギターやドロップチューニングにも向いているという説明もあることから、全く違ったニーズへ向けての製品だったことが窺い知れます。

MAD PROFESSORやBJFEもですが、筐体に透明感のある塗装を施し、配色を絞りつつもカラフルで北欧らしい色使いが特徴なのですが、本機Stone Greyでは今までにない白濁した灰色が特徴的で、正面から見下ろすと、コンクリートや石碑を思わせる硬質な質感を演出しています。サイドの塗装は少し薄く、ケースを磨いた下地が透けています。ノブには黒色の物を使用しています。

コントロールはボリューム、トーン、ゲインの三つです。

ボリュームの音量調整は全て12時で鳴らすと原音より高め。私の環境では11時少し手前辺りがユニティゲインとなりました。MAD PROFESSORはオール12時設定だと出力が高めに調整されていることが多いです。ゲインを最小にした設定では、2時辺りがユニティゲインになりました。優しく弾けばクリーンを維持できますが、コード引きでは歪みます。ガサッとした歪みでCMOSらしい味付けが感じられます。クリーン設定で使うには少しホワイトノイズが目立つ印象。音量は2時以降も増幅し、ブースター並みの音量を稼ぐことができます。

トーンは主に高域を調整する効果があります。12時を起点に右に回すと高域が持ち上がり、左に回すと高域が落ち着く感じです。12時付近が中域とのバランスがよく自然に聞こえます。シングルコイルを使用していても最大設定では、ある程度は耐えうる高域設定してある印象です。どちらかというとハムバッカー向けな印象を受けました。トーンを絞り切っても他の帯域と高域がある程度は確保されているため、音が籠って使えないということは無いです。

ゲインは可変幅は広く、位置によって歪みに深さが変ると同時に音像もかなり変化します。全て12時設定だと、かなり圧縮された感じを受けます。ちょっと不自然にピークを削っている感じもあるため私はあまり好みでは無いです。ゲインを上がるとピークが開くと共に、バイト感が増してリフを弾いていて気持ちが良い歪みへと変化します。音量も上がるため調整が必要となります。私の環境では、ゲイン最大でボリュームが2時を超えるとハウリングしてしまいます。ゲインを下げるとザラッとしたオーバードライブにも対応できます。ある程度歪ませている分にはノイズはあまり気になりません。

Mighty Red Distortionに比べると確実にハイゲインです。低域も太く、高域がしっかりと出るため、ザクッとしたリフにもある程度は対応できます。ですが、ヘビィメタル特化では無いです。メタリカ(Master Of Puppets)でもちょっと厳しく、割と正統派寄りなモダンハイゲインであるスリップノットやマストドンなどにも重厚さが足りていません。じゃあこのペダルどこ向けなんだって言われると、月並みな評価になってしまいますが、ハードロック向けという評価になってしまいます。スコーピオンズとかメタリカのロード期(これも結構厳しいかもしれません)や、七弦ならドリームシアターが思い浮かびましたが、ペダル単体ではTrain of Thoughtのようなヘヴィさは再現できないです。
しっかり歪ませた音も良いですが、独創的な回路を味わうためゲインを低めに下げて、オーバードライブで使うのもありかもしれません。分離が良いのにガサっとした歪み方は他には無いですし。

本機は現在生産終了しています。使用しているコンポーネントからみて完全に同じ構成での復刻は難しいのではないかと思います。当時のハイゲイン系は一通り触ってきましたが、この手のジャンルのペダルは実はオーバードライブやファズに比べて市場が狭いです。定番と呼べるペダルの人気が動かないため、本機も狭い市場のなかでは、なかなか日の目に当たることができなかった印象があります。