MXR CSP042 THIRD MAN HARDWARE double down

 

2023年発売 黄色と黒を基調としたThird Man Hardwareカラー MXR筐体 オレンジLED サイドジャック インプット側筐体横のスライドスイッチでバッファードバイパスとトゥルーバイパスに切り替え可能 アウトプット側筐体横のスライドスイッチでOUT2の位相を反転可能
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 黒い表面実装基板 内部表記 ASSY REV(C1) 6-9-2022 MMI20
オペアンプはデュアルICのTL072Cが確認できます。JFET入力で受け口が広いICですが、説明書のインピーダンスを確認すると、バッファーオフ時450kΩ、バッファーオン時700kΩと通常micro ampの1MΩより低いです。サイドのスイッチは下げることでバッファー状態・位相反転に切り替わり、黄色いランプが点灯します。

本機はアメリカでは2022年に先立って発売された、ジャック・ホワイトが主催するThird Man Hardwareプロデュースによるmicro ampの出力を個別に兼ね備えた、2ラインスプリッターペダルです。
Third Man Hardwareはジャック・ホワイトが設立したレコードレーベル「Third Man Records」のハードウェア・アクセサリ部門で、自身のプロデュース品をJHSやGamechanger Audioのようなブティックから、Donnerのような低価格帯メーカーまで幅広く取り扱っています。ジャックの好みが反映されており、黄色と黒のカラーリングで統一されています。サウンドの傾向もハイゲインディストーションやファズ、複数台使用していたmicro ampなどをモデルにした本機など、彼のホワイトストライプス時代を含めてシグネチャー色の強いのが特徴です。Double Downという名称はブラックジャックでのルールの一つで、「掛け金を2倍にする代わりに、一枚だけカードを引いて勝負をする」という、ハイリスクな賭け方ですが、それに転じて、強気に投資したり、信念を曲げずに強行するといったニュアンスを含んでいます。

ジャックは2台のアンプを同時に鳴らすことによって長年サウンドメイクの土台にしており、各アンプにはmicro ampを繋げて音量差のバランスをコントロールしてきました。本機はそれを一台で可能とする設計となっています。二つのアンプを使用した際に逆相に重なってしまった場合は、筐体横のスライドスイッチにてOUT2の位相を、OUT1側と反転して出力することができます。これにより、逆相によるノイズキャンセルの原理と同様の、音の打ち消し症状を解消し、アンプ2台による本来のキャラクターを強調した分厚い立体感のあるレイヤーサウンドを再現できます。

また従来のmicro ampと違い、バッファードバイパスとトゥルーバイパスに切り替え可能です。本機のスプリッターとしての機能はエフェクトオフ状態でも機能しており、原音はバイパス設定によって両方から常に出力されます。個別に切り替えることはできませんが、バッファードバイパス状態でdouble downの後段にファズを繋ぐとローインピーダンスで受けることになり、ファズの音色を変えてしまい、特に手元でファズの音色を操作するには支障が出てしまいます。その際はトゥルーバイパスに切り替えることによってこの問題を解決することができます。

ノブはゲイン1とゲイン2の二つ。左右側面にスライドスイッチが二つ。

ユニティゲインはmicro ampと同じようにノブを左に回し切った0状態に位置します。ここから最大+26dBまでブースト可能となっていますが、12時地点での音量は若干通常のmicro ampより僅かに低くいです。ヒスノイズがクリアになりmicro ampに感じられる微細な歪みも軽減されているようにも聴こえますが、基本はmicro ampと同じです。3時以降になると独特の味付けが感じられます。
増幅が高いこの状態で、後段にディレイやリバーブを繋いでいるとエフェクト音が過大入力によりうまく処理できず、歪みが発生してしまうため上げすぎには注意が必要です。micro ampの味付けと相性が良く感じたのが、ジャックも使用していたPitch Forkのようなピッチシフト系やPOGなどのオクターバーなどで、片方のアンプをベース寄りに設定してシフトを掛けることにより、存在感があるギター音と、歪みが乗っていないクリーンなオクターブ音を同時に鳴らすことで、ベースレスでも壁のような重厚なアンサンブルを作ることができます。

個別のスピーカーを離して鳴らす立体感には劣りますが、JC-120で使用する際はクリーンとエフェクト側の入力を使用することにより、60Wのスピーカーを一発ずつ使用した疑似的な複数アンプでのサウンドメイクが可能です。注意点としてJC-120は生産リビジョンにおいて各チャンネルの位相が異なっているため、出音がスカスカに聞こえたりした場合はシフトスイッチを切り替えることにより対応が可能です。片方にファズを経由させるなど、EQに差を付けて音色が異なる状態で同時に鳴らしたり、ピッチシフトやモジュレーションをクリーンに分けるなどプレイヤーの工夫次第で様々な音作りが可能です。

操作性についてですが、筐体の左右に設置しているバイパス切り替えスイッチと、位相反転のシフトスイッチは指やピックで簡単に切り替えられるものではなく、スイッチをマイナスドライバーやペン先で押してスライドさせて切り替えます。そのため誤動作で切り替わることはまずないはずです。一度設定したら頻繁には変えないとはいえ、いろいろ試すにはちょっと不便だなと私は感じました。付属のノブに付ける黄色いラバーキャップですが、これは元々、足でノブを操作するために装着させるのですが、足での操作はノブの位置が近いので誤って隣のノブに触れてしまいそうです。ですが、Third Man Hardwareを象徴する黒と黄色のコントラストに映えるため、私は付けたまま使用しています。電池での使用は可能な作りですが、内部のスペースが狭いため注意が必要です。

本機は現在も販売が継続されています。Third Man Hardwareでは限定カラーの黄色をメインとした本機の反転カラーエディションが購入できます。またMXRのカスタムショップラインは一時的な限定生産になることが多いため、いずれ販売が終了してしまう可能性があります。ジャック・ホワイトのファンの方、MXR製のスプリッターを使ってみたい方は早めに購入しておくと良いかもしれません。