MAD PROFESSOR Royal Blue Overdrive

MAD PROFESSOR Royal Blue Overdrive

MAD PROFESSOR Royal Blue Overdrive 全体像
2013年製 光度で色が変わるカメレオンパープル MXR筐体 橙色LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 プリント基板 内部表記RBO V1.0 2013
回路構成はTimmyに似ているとされる箇所もあるのですが、内部のパーツ数は比較的に多く、フィードバック回路や、シェルビングトーン回路、赤色LED二つを使用したクリッピングなど、本機ならではの特性を持っています。どちらかというと、先に発売されたMAD PROFESSORのディレイと歪みが複合した、Bluebird Overdriveの歪み側の回路に類似している箇所が多いようです。インプットインピーダンスが140kという控えめな作りにはじまり、シェルビングトーンや対称クリッピングに赤色LEDを使用していることも同じです。但し、全く同じ回路ではないと、MAD PROFESSOR側が否定しています。

MAD PROFESSORのファクトリーモデルは2010年から台湾で製造がはじまりました。最初は既存のハンドワイヤードで作られていたモデル、Sweet Honey OverdriveMighty Red Distortion、Deep Blue Delayなどの組み立てを簡略化して生産コストを抑え、より広い層に手に取ってもらえるように生産性を向上させたのが、そもそもの製造ライン設立の目的でした。その後、ファクトリーラインのみで生産されたモデルも発売されます。本機のRoyal Blue Overdriveはその一つです。

モデル名のロイヤルブルーですが、筐体の色は私にはブルーには見えないです。若干下地が透けているクリアパープルなのですが、アルミ筐体の下地の影響かライティングによってはスパークル処理が施された深紫にも薄紫にも見えます。MAD PROFESSORには既に青系の塗装がされたペダルがいくつかありましたので、かえってこちらの色の方が目立ってよかった思います。紫は高貴な色でもありますし。

MAD PROFESSOR製品の回路設計はBJFEのBjorn Juhlビョルン・ユール氏によるものが多くを占めていますが本機もまたその一つとされています。発売された2013年は、トランスペアレントという言葉がペダル業界に浸透しはじめ、ちょっとしたトランスペアレントブームが起こっていました。そんな時代背景の中、MAD PROFESSORの新作として本機は発売されました。
コントロールはボリューム、ドライブ、ベース、トレブルの四つ。

ボリュームはドライブの影響を受けます。ドライブを最小、EQを右に回し切った状態で11時ごろが原音差がない位置となります。この状態でボリュームを最大に回した状態では原音よりは音量が上がりますが、ブースターとしてのは少し心もとない音量です。もう少し音量を稼ぎたい場合はドライブを9時頃まで上げると対処できます。

ドライブは、9時ごろまでは殆ど歪みません、歪みが増すごとに低域がぼやけてくるのでベースを下げて調整すると音像がクッキリします。Timmyと比べると歪みの量は控えめで高域は抑えられています。全体的に中域よりの歪み方をします。歪みは緩やかに増えていくコントロールの効きをしますのでローゲインオーバードライブとして使えます。

EQにあたるベースとトレブルは、私には僅かに高域が抑えられたようにも感じられますが、右に回し切った状態がクリーン設定の原音とほぼ同じ、フラットのようにも聴こえます。比較したTimmyの使い方に倣うと、絞った位置が基本位置のTimmyとは真逆の効き方をしますが基本的な使い方は同じで、左に回すごとのに帯域をカットします。
実際には12時を起点とした、ノブの位置で帯域を上げ下げするシェルビングタイプのイコライザーとして機能していると公式の説明に記されています。そのため回路的にはフラットポジションは12時となります。これによりバッキング向けの切れあるサウンドから、高域を抑えたウォームなオーバードライブも可能です。

原音に忠実に作用し、余分な低・高帯域をカットする動作はTimmyと同じ使い方ができます。歪みに関して言えばクリッピングがLEDなこともあり、高ゲイン設定では違う印象を受けました。Timmyより高域の解像度が高くなく、中域よりの大人しく甘めの歪み方をします。低ゲインではシェルビングイコライザーを使用したブースターとしても使えます。少しドライブを上げて倍音成分を足すのも良いと思います。
MAD PROFESSOR Royal Blue Overdrive PCB基板
このペダルの使用者としてもっとも有名なのはマット・スコフィールドでしょう。彼はシグネチャーモデルのFree The Tone製MS SOV-2や、VEMURAM Jan Rayも使用していますが、本機Royal Blue Overdriveと、片側にRoyal Blue Overdriveのプロトタイプとされる回路を搭載したSupremeを愛用しており、ここ数十年のボード遍歴を見てもレギュラー率が高いです。
本機はMAD PROFESSORの製品の中で、初期のHW製品を差し置いて、発売以来生産が続けられてるロングセラーモデルです。2025年に新しいHWシリーズが発表されましたが、3機種に絞られた一つに本機が選ばれたこともあり、社内外でも評価が高いことがうかがい知れます。また派生モデルとして、最初の方で触れたBluebird Overdriveの歪みに近づけてMODしたRoyal Blue Overdrive Customがあります。筐体のカラーリングは初期型にはBluebird Overdriveと同じ水色を使用しており、後期型は本機と同じ紫の筐体にCustomと記されています。Bluebird Overdriveは残念ながら2026年現在では生産を終了しています。