MXR M104 distortion+

 

MXR M104 Distortion+
MXR M104 Distortion+ 全体像 enclosure top view

2008年製 レモン色にザラっとした質感 MXR筐体 赤LED サイドジャック ハードワイヤードバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 緑のプリント基板 CEマークあり 底部スポンジあり
本機のシリアルナンバーはMMIからはじまる2008年製として扱っています。中古で購入したのは15年以上は前の物ですので、2010年以前の物であることは間違いありません。MXRのシリアルナンバーはAA、AB、ACとはじまる海外製の製造数のみのナンバーと、MMIからはじまるジム・ダンロップの日本代理店 モリダイラ楽器(Moridaira Musical Instruments)の正規輸入品に付けられたナンバーがあります。MMIに続く2桁は何かしらの年数を示しているとされていますが、近年の新製品とは2~3年ズレが生じているものも確認できるため、正しい年数ではありません。ですが、同ペダルでこの2桁の数字が低いほど古いのは正しいです。続くアルファベットと3桁の数字は製造週と製造数を示すものとされています。社内コード、もしくは1年(52週)をアルファベット26文字で割り振る隔週(2週間)管理ではないかと推測できますがこちらも確証はありません。ヴィンテージの場合はポットデイトからおおよその生産時期を割り出せますが、プリント基板の現行品に関する情報は少ないため、確証が得られず、推測の域を出ない点があることをご容認ください。

内部のオペアンプはNational Semiconductor製 LM741CNです。ディストーションポットの下にD1.D2.にゲルマニウムダイオードを確認できます。抵抗材はカーボンのみを使用。REV D表記 ASSY REVは未記入です。外部の特徴としては大きなCEマークのシールと裏蓋にスポンジ質のマットが貼られています。MMIシリアルが進むにつれ、抵抗材がカーボンから金属被膜に変更され、基板の色は近年お馴染みの赤い基板へ変更されていきます。ちなみに筐体は堅牢さが売りとされており、この個体は364gありました。重量は年代によって変化しています。ネットに上げられている画像を確認する限り、赤基板になってもゲルマニウムダイオードは使用されているようです。

MXR M104 Distortion+ CE enclosure view

MXRは1984年にBOSSやMAXONなどの日本企業に押され一度市場から姿を消しますが、1987年にジムダンロップに商標を取得し復活しました。よってMXR製と厳密に呼べるのは1984年以前の物であり、それ以降はダンロップ製として扱われ、現在でも過小評価されているのが現状です。今と昔では音が違うといった評価は散見されますが、コンポーネントが違うとはいえ基本回路は継承され続けているため、現代としては少し使いづらいともいえる基本動作はヴィンテージと現行品に違いはありません。

コントロールはアウトプットとディストーションの二つ。

使いにくいといわれるのがこのアウトプットレベルで、もはやdistortion+の特徴ともいえるのですが、試奏する際に二つのノブを12時に設定すると、原音よりも音量が低く、戸惑う方もいると思いますがこれが仕様です。ディストーション位置にも影響しますが、ペダルで歪みを作る場合は基本的にボリュームはある程度上げて使用することになります。ちなみに現行の説明書のサンプルセッティング例が、全てアウトプットを最大位置なのはちょっと笑えます。
ディストーションは歪みの量の調整です。ザラッとした固めの歪みですが、低域は主張してきません。歪みの加減も、現代のオーバードライブの括りに入るペダルでも歪ませることができる範囲です。ノブを最小にしても僅かにですが原音を歪ませてしまうため、完全なクリーンはできません。また、この状態ではアウトプット最大がユニティゲインとなり音量を稼ぐこともできません。

バイパスは公式にはハードワイヤードバイパスとあります。トゥルーバイパスでは無く、OFFの状態では信号が完全に切り離されずに通るため、高域の広がりや伸びが狭まる、所謂音痩せが起こります。この仕様のMXR製品を2~3台直列でつなげて、エフェクトオフにしてクリーンを鳴らすと出音が如実に変化することが分かると思います。この高域がスポイルされた音を味付けとしてとるか、もしくは雑味として拒絶するかは人それぞれです。

通常の使用では、いまいち使い勝手に欠けるペダルですが、このペダルを有効活用したのがランディ・ローズというのはあまりにも有名です。改造したMarshall Super Leadにdistortion+を組み合わせて、文字通りアンプに歪みをプラスして使用しました。distortion+という名前で、歪ませるためのペダルというイメージを持たれがちですが、私はローゲインでアンプを少しだけプッシュする使い方で使っていました。基本アンプと合わせて使っていたのですが改めて触ってみると、単体で歪ませてみても不器用なりの個性があるペダルだと思います。

MXR M104 Distortion+ PCB National Semiconductor LM741CN
本機は現在も生産が続いています。このペダルが不便な仕様を改善されずに、今日まで生産されている理由は改善することにより、distortion+ではない別の物へと変わってしまうからだと思われます。現にMXRの商標を買い取ったダンロップ社は、MXRオリジナルの機種の時代錯誤ともいえる仕様をあえてそのままに生産を続けています。新しく現代的なものはMXRカスタムショップラインが担っており、現代的・意欲的なペダルを開発しつつ、伝統的なペダルの生産ラインを守っています。