MXR DD25 DOOKIE DRIVE V3

2020年製 ヘアライン仕上げのアルミケース MXR筐体 緑LED サイドジャック トゥルーバイパス 
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 赤の表面実装基板 内部表記 ASSY REV(B0) 2/25/2019 MMI17
本機は2019年に限定2000台で販売されたグリーンデイの、ビリー・ジョー・アームストロングのシグネチャーモデル「DOOKIE DRIVE」の再販ヴァージョンの一つにあたる機種です。2000台限定で販売されたDOOKIE DRIVEはグラフィックにグリーンデイの代表作であるdookieのジャケットが水色の筐体にプリントされていました。V2とされるdookieのジャケットの簡略化されたデザインと違い、本機V3は2020年のはじめにリリースしたアルバム『Father Of All…』に描かれたユニコーンがプリントされており、V2とV3デザインでの復刻は同時に発表されました。前々から再販売の計画はされていたようです。メーカー側も、ロットの生産時期から見ても限定2000台で先行販売したDOOKIE DRIVEと内部は同じものとされています。
アルバム「dookie」は1994年にグリーンデイがメジャーレーベル移籍後最初に出した3rdアルバムです。録音にはプロデューサのロブ・カヴァロが持ち込んだMarshall 1959 SLP Plexiを全編に使用しています。この1959はCustom Audio Electronicsで改造されておりBob Bradshaw Gain MODまたはDOOKIE MODと呼ばれ、内部でプリアンプをカスケード接続してゲインが向上していました。ピート・タウンゼントのような大音量で鳴らすため「Pete」という愛称が付いています。ビリー・ジョーはこのアンプを気に入り、メジャーレーベルの契約金でカヴァロから買い取ります。Woodstock '94でも使用されたビリー・ジョーの愛機の一つで、現在はピンク色に塗装されています。

そして、「dookie」のレコーディングには使用されませんでしたが、アルバムリリース後ツアーで回る際のスペアのアンプとして、ツアー中に購入したとされるもう一台のMarshall 1959 SLP Plexiがありました。更なるハイゲイン化のため、こちらは「SE Lead mod」というプリ部分を増設した大掛かりな改造を施してあり、「Pete」に対する語感による言葉遊びで「Meat」という愛称が付けられています。ツアーではスペア、もしくはさらにラウドな歪みを必要とする場合は同時に使用され一緒に設置されていることが多いです。こちらの外見はシルバーのラッカーを吹き付けたような塗装が特徴で、次作の「Insomniac」以降からはレコーディングで徐々にメインで使用されるようになります。

MXR公式によるビリー・ジョー・アームストロングが出演しているDOOKIE DRIVE紹介動画の背景に並んで鎮座しているヘッドがまさにそれにあたります。
この2台のアンプを実際に解析し、「dookie」のサウンドをペダルにて再現させるために作られたのが本機のコンセプトです。カテゴリーとしては改造Marshall 1959 SLP Plexiを2台再現したマーシャル系となります。

ただ、グリーンデイといえば私としては2004年の「American Idiot」の印象が強いです。サウンドの傾向としては骨太なロックサウンドで、アルバムで聞ける「dookie」のようなローファイながらも軽快で明るいパンキッシュなサウンドとはちょっと違います。実際dookieとは10年も離れており、現在ではさらに重厚なレイヤーサウンドへと変化してきています。その辺りもどれくらい近い音が出せるのか気になる機種ではありました。

ノブはアウトプット、ゲイン(ハイゲインチャンネル専用)、ブレンド、トーンの四つ。ミッドを削るミッドスクープスイッチと、内部にトリマのクランチゲインとクランチボリュームがあります。

アウトプットは最終的にブレンドの比率によって音量は変動するため、設定の都度調整が必要となります。初期設定だとブレンドがハイゲイン側によるほど、十分高く感じられると思いますが、クランチ側をメインとして使用する場合は、表のハイゲイン側に作用するゲインノブを低めに設定することもあり得るため、ボリュームを上げる必要もでてきます。
トーンは12時をフラットに、右に回すと高域が強調され明るく、左に回すと高域がカットされマイルドになります。これはゲインと違って分かれておらず、ブレンドされた音色全体に影響します。そのため各チャンネルに設定された基本EQは固定となっています。

説明書を読む限り、全ての地点を12時地点で開始してくださいと記されています。その説明からブレンドノブの説明を読み解くと、ブレンドノブは12時地点を中心として、左右に傾くことによりキャラクターがブレンドされます。
左側が中低域によった「Pete」にあたるクランチチャンネル、右側がゲインが高く、高低域でドンシャリ気味な「Meat」にあたるハイゲインチャンネルです。左右に振り切った状態では各チャンネル単独の音色が出力され、相反するチャンネルは徐々にミュートされる作りになっています。

dookieではPeteのみを使用していましたが、Peteの様々なセッティングでのサウンドを重ねているため、クランチ側だけを鳴らしても良い結果は得られません。
ここが一番重要な点なのですが、本機のDOOKIE DRIVE V3でブレンドノブを左いっぱいに回した状態だとクリーンに近い状態になります。
ノブの動作で説明するならば、ブレンドノブが中央付近ではクリーンにハイゲインチャンネルの歪みが乗ったブレンド状態になります。右へ回すにつれてクリーン(クランチ)チャンネルの音量はミュートされていき、逆にボリュームが上がったハイゲイン側の「Meat」のみのドンシャリなサウンドだけが残ります。正確に正しい位置がどこなのかは断言できませんが、トリマに小さく付けられた二つの点の位置が説明書の写真と同じ位置になるため、恐らくこれが出荷時の設定だと思われます。
表に出ているゲインはハイゲインチャンネル専用のノブとなっているため、表に出ているゲインを操作しても、同時に出力されているクランチ側には影響を与えません。このクランチ側のクリーン状態を操作するには、内部のクランチゲイントリマの操作が必要です。

私がdookieらしい設定と感じたのは、現在のクリーン設定から十字の溝を、1目盛り分だけ時計回りに動かした位置が(画像の内部トリマの・・の位置を上向き揃うようにした位置)が、よりMarshallらしい中低域の力強さを感じられます。ここにゲインを控えめに設定したハイゲインチャンネルを混ぜることにより、ブレンドでクランチチャンネル側をメインに寄せた設定でスイートスポットを探せます。
2目盛り分まで上げても良かったのですが、ブレンドするとハイゲイン側の低域が重なり、強く低域が主張してくるのでdookieらしい明るさが弱まると私は感じました。ただしこの設定のクランチチャンネルの音圧は高く、ハイゲイン側の表のゲインを最大にした状態とはまた違って高域は硬めながらも、中低域に重心を置いた分厚いマーシャル系の歪みに設定できます。


クランチチャンネル側で作った音のブレンドでの比重を上げるために、内部にクランチボリュームトリマがあります。クランチ側の音が気に入った場合はここを調整してやるとブレンドの手助けになるはずです。ちなみに少し反時計側に回すと十字がX字になり、クランチチャンネルは完全にミュートされます。
私の個体では各トリマごと最大値と最低値はX字になるように設定されていますが、個体によっては、私と初期位置が異なっている可能性もあります。方向や力加減を間違えれば簡単に壊れてしまうため、自己責任で慎重に行ってください。

極端に片方に寄せれば「Pete」と「Meat」という二つのキャラクターを使い分け、内部トリマを活用すれば、異なる改造が施されたPlexi系Marshallを重ねた、骨太で分厚い現代的なアリーナロックな歪みも設定できます。欠点はクランチ側「Pete」の設定が内部にあるため設定がかなり面倒なことです。私は初期設定である、クランチチャンネルの内部ゲインを絞ったクリーン状態のブレンドにはあまりピンとこなかったため、X字になるまでゲインを最大まで上げてしまっても良いかと思っています。が、ブレンド次第では低域が若干もたつく可能性もあるため2目盛りに留めています。
出荷時の状態で十分dookieのサウンドが再現できるよ。という評判も目にしますが、その場合はハイゲインチャンネル側の「Meat」に歪みの大半を頼ることになるため、ローファイっぽさはありますが、割とシャリシャリ感強めな設定になりがちだと思います。
この状態でミッドスクープスイッチをオンにすると良いという意見もあるのですが、通常でもドンシャリ気味なため、さらに奥に引っ込んでしまい一人で弾くには向いていないです。
ミッドスクープスイッチはオンにすることにより、ブレンド全体がまとまって締まる設定もあるのですが、アンサンブルでボーカルと被らないように使用する以外には、使いどころが難しい機能に感じられました。
本機はV3は最初から限定復刻品扱いだったため生産は終了していますが、その後赤い筐体にdookieのジャケットアートから引用した爆弾がプリントされたV4。同じくジャケットから引用した、泥んこ合戦中の犬がプリントされたdookie30周年記念アニバーサリーエディションが2026年現在も販売されています。30周年記念版には緑の筐体と、ヘアライン削り出し筐体の二種類が確認できます。また噂ではMXR M251 FOD Driveが公式による紹介文や、その動作仕様の類似から本機DOOKIE DRIVEのミッドスクープをブーストもできるように改良した後継機と囁かれています。結局のところ2019年の限定2000台からデザインは変われど、同じ仕様で販売され続けていることから一定の需要があるようです。ですが、設定が割と複雑で内部トリマまで触って作りこまないと再現できない音色もあることからGeek Stink Breathの謎の邦題『ギークはパンク・ロッカー』を体現しています。