DOD Overdrive Preamp/250 '90s Reissue

DOD Overdrive Preamp/250 '90s Reissue
DOD Overdrive Preamp/250 '90s Reissue 全体像 enclosure top view

90年代前半 ザラザラした鉄製のDODオリジナル筐体 サイドジャック ハードワイヤーバイパス
DCジャックはアウトジャックサイド ミニプラグ 9V駆動 深緑のプリント基板 内部表記80-6211-A
本機のノブは私自身が当時使用していた、別のDOD機に必要で20年以上前に交換しました。ノブのみ交換はされていますが、中は無改造品で間違いありません。
オペアンプはサムスン製KA4558 このデュアルICはサムスン電子が半導体部門を1998年にフェアチャイルドに売却する前の90年代初期に作られたKA4558で、マークの三ツ星はサムスンを意味しています。ダイオードはシリコンが二つ使用されています。基板の形や、黒いボックスジャック、筐体のザラザラな質感と裏蓋のDODの刻印が上部に来ることから90年代にリイシューされた前期の個体です。アメリカ・ユタ州製と思われます。後期中国製は先の特徴が当てはまりません。

DOD Overdrive Preamp/250 '90s Reissue IC Samsung KA4558

DODといえばアメリカンペダルをキャッチフレーズに数々の名機(迷機)を作り出したMXRやエレハモに並ぶアメリカを代表する企業です。そんなDODの数ある製品の中でも一番の知名度を誇るのが本機DOD250です。DOD Overdrive Preamp/250は1974年にユタ州ソルトレイクの工場で作られ、最初期はパネルを折り曲げて作った黒い筐体でした。1978年からはお馴染みのDOD筐体で生産され、Gray Boxと呼ばれる灰色の初期個体と、黄色い塗装に変更し、250のフォントが25Oと表記された後期型にも、中身がグレーとほぼ同じ作りの個体があるため、通称Gray Specと呼ばれどちらもヴィンテージ価格で取引されています。

内部の回路はMXR  distortion+とほぼ同じ仕組みでクリップ部分がシリコンになっていますが最初はゲルマニウムだったようです。詳しい成り立ちはJHSが「The Complete History Of The DOD 250 Overdrive Preamp」という動画で解説しています。この動画の中ではDODの元開発者であるDavid Oreste DiFrancesco(デイビッド・オレステ・ディ・フランチェスコ)氏がMXRのコピーと証言しています。ちなみに社名のDODは共同創業者である彼の名前を略してDODという名前になりました。

コントロールはゲインとレベルの二つです。

兄弟機と言われるdistortion+では両方のノブを12時に設定すると音量がユニティゲインを下回る特徴がありますが、こちらのDOD 250ではそのような症状は起こりません。これはクリップ部分がゲルマからシリコンに変わったことにより、ヘッドルームの消費が抑えられたことによるものです。また歪みの質も変化しています。

レベルはノブが交換されているため若干違う場合もありますが、ゲインとレベル12時でユニティゲイン位置となります。ゲイン最低ではレベル最大がユニティゲインとなり、ここの動作はdistortion+と同じですが、DOD250はゲインを絞るとクリーンになります。商品名にPreampとあるようにアンプの歪みにプラスして使う用途でも考えられており、歪みをプラスするdistortion+の思想に通じるものを感じさせます。

ゲインは、12時の位置では若干歪んでいる程度で、12時付近まではなだらかにゲインが増えていき、しっかりと歪みだすのは3時以降に回してからです。ノブを右に回すにつれて、高域がしっかりと出る代わりに低域を削っていきます。歪みの質は硬質でブライトな印象を受けます。distortion+はゲルマニウムダイオード独特の飽和感がありますが、DOD250は感じられず歪みも浅く、少し平坦でタイトな感じもあります。

本機はハードワイヤーバイパスのため、この仕様のペダルを複数直列でつなぐと、エフェクトオフ時に高域が削れトーンを絞ったような音痩せが発生します。回路自体が単純なのでそこまで音痩せはしないとされていますが、私としては1つまでが許容できるラインなので、複数使用する際はスイッチャーかバッファーの活用を推奨します。

DOD Overdrive Preamp/250 '90s Reissue PCB

本機は現在は生産を終了していますが、90年代のリイシュー品は数が出回っているので購入するのは容易だと思います。現行品はアルミ筐体に変更され裏蓋は黒く、表面はクリアなスパークルイエローに塗られており、LEDも付いています。オペアンプはオリジナルで使用されていた元のLM741に変更されている可能性があります。またこちらは生産終了していますが、日本限定モデルとしてL'Arc〜en〜CielのギタリストKENシグネチャー「LOVE DRIVER」が存在しますが中身は本機DOD Overdrive Preamp/250と同じとされています。黒いイングヴェイシグネチャー「YJM308 Preamp Overdrive」は少し調整が施されているようです。アナログマンにより「MOJO.MOD」では、90年代のリイシューDOD Overdrive Preamp/250をベースにオペアンプをオリジナル同様のLM741に変更し、コンデンサの値などを調整してGray Specと同等の物に改造したモデルです。私も一時所持しており、こちらの方が明るくハリがあった覚えがあります。

DODおよびDigiTechは2017年に当時の親会社であったハーマンがサムスンに買収された際、エフェクター部門の開発者は全員解雇され、ギターペダル開発部門は閉鎖されてしまいました。その後、2022年に韓国のCort Guitarsよって買収され、全スタッフを呼び戻し、再びユタの工場にて生産を再開しています。遊び心があるアメリカンペダルとして再び、歴史に残る迷機を送り出して欲しいと期待しています。