Walrus Audio MAYFLOWER

Walrus Audio MAYFLOWER

Walrus Audio MAYFLOWER 2
2016年製 ネイビーブルーの1590N1サイズ筐体 金属製ノブ 白LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックは筐体上部 9V駆動 白いプリント基板 内部表記 Mayflower V2.1
内部にはTexas Instruments製RC4558Pを二つ使用しています、ドライブ側に二つのダイオードが確認でき、1:1の対称クリッピングにて歪みを加えています。トランジスタにはMPSA18 抵抗は金属被膜で統一されています。入出力にバッファリングを備えており、高域を整え、中域特性を発生させているようです。このペダルはTimmyの発展型、TimmyにTS特性のバッファ回路を加えたトランスペアレントとよく称されています。本機は製造年は2016年で、シリアル数は2000を超えていますが、販売自体は2011年からされているWalrus Audio初期の製品の一つです。

Walrus Audioはアメリカ、オクラホマ州ノーマンで2011年に起業したエフェクトペダル企業です。Walrus Audioが2011年にYouTubeで、オーバードライブVoyagerを紹介している動画の青年がBrady Smith(ブレディ・スミス)氏で創業者です。既に退社しており、2014年にOld Blood Noise Endeavorsを新たに立ち上げました。
現在は、社長を務めるColt Westbrook (コルト・ウェストブルック)氏と専属エンジニアとして2014年に入社した、元FAA連邦航空局のエンジニアで、カスタムアンプを製作・販売していた経歴を持つJason Stulce (ジェイソン・スタルス)氏が引継ぎ、本拠地をオクラホマシティに移転して運営を行っています。スタルス氏が入社する前の製品の回路設計は外部に委託していたとのこと。
日本での当初代理店はアンブレラカンパニーで、2019年6月よりパール楽器が取り扱っています。

シルクスクリーンで印刷されたピクチャーは、1620年にイギリスからピルグリム(巡礼者)を乗せ、新天地のアメリカ・マサチューセッツ州プリマスまで航海するメイフラワー号が描かれています。Walrus Audioの製品は人類の歴史的な出来事を取り入れたデザインが多くみられるのが特徴です。初期は線画のようなデザインが多かったのですが、現在はよりコミック調に寄せたスタイルへと変わっていきました。

コントロールはレベル、ドライブ、ベース、トレブルの四つ。

レベルは音量です、ゲインの影響を受けます。EQをフラットにし、ドライブを最小にした状態での音量はTimmyと同量で原音より多少音量が稼げる程度です。ドライブのゲインの可変がなだらかなため、少しずつ上げることにより音量を稼ぐことができます。
ドライブはEQが原音と同じフラットポジションだとあまり歪みません。12時だとローゲインな歪みで、12時以降は歪みは増しますが基本的にウォームな響きは変わらず最大でもTimmyより歪みません。
中域が強く、少し奥に引っ込んだ感じがありますがEQを上げることにより厚みが出るため立体感が感じられます。Timmyとは違い高域がクリアに出るタイプではなく、バッファによる味付けがしっかりと感じられます。
EQのベースとトレブルは1時ごろがフラットポジションとなり、カットだけではなく、1時以降は増幅するのがTimmyとは違う点です。しかし、EQを上げすぎるとTimmyと比較してヒスノイズが発生します。特にトレブル最大はチリチリとしたノイズが目立ちます。これはドライブによるゲイン量にはあまり影響がないため、ゲインを最小としたEQブースターとして使用する際は気になる人も出てくると思います。フラット付近であればTimmyと同程度のヒスノイズなため気になることは無いと思います。

総評としては、TimmyとTS系の中間といった感じでトランスペアレントな忠実な原音を削いでいく使い方もできるのですが、フォーカスされる中域が許容できるかで評価が分かれると思われます。EQのベースの効きが良く音の厚みを持たせることができますが、トレブルを上げてもTimmyの自然な高域の抜けの良さはには追いつけません。私にはローゲインオーバードライブ的な立ち位置のペダルに感じました。各ノブのコントロールがゆるやかに可変するのは好印象です。
Walrus Audio MAYFLOWER PCB
本機は生産を終了しています。限定カラーや限定グラフィックもあり、私もネイビーにイエローの限定カラーも以前は所持していました。Walrus Audio初期のラインナップから一番最初に姿を消した覚えがあるのですが、日本ではVoyagerと同じくらい人気がありました。後継機にTimmyV2のようにクリッピング切り替えを追加した、『Warhorn』が控えていたこともあるかもしれません。販売時期からするとTimmyクローン論争が過熱していた時期とも重なりますが、実際に比較してみるとEQの動作が違うこともありますが、追加されたバッファ回路の特性が強く出ているためTimmyと同じようには感じられません。実際にPaul Cochrane側に気を使って生産終了を速めたかは定かではありませんが、本機はTimmy論争の嵐に大きく巻き込まれることが無く、生産終了という形で航海に幕を下ろしました。