2022年発売 ピンクのスパークル塗装 MXR筐体 赤LED サイドジャック 内部スイッチでトゥルーバイパスとバッファードバイパスに切り替え可能
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 赤いプリント基板 MMI20 クリアノブ仕様
本機は2018年に発売されていたM294 Sugar DriveのMXRサイズ版として発売されました。ICはSugar Driveと同じく四基確認できます。TL072Cが3基、チャージポンプ用のTC7660SCが電源ジャック付近に設置されています。ガラス管のゲルマニウムダイオードも二つ確認できます。筐体にスペースの余裕ができたため、電池での駆動も可能となっています。
Sugar Driveの設計はJeorge Tripsジョージ・トリップス氏で、インタビューにおいて露骨な明言は避けたいけど、伝説的なオーバードライブがモデルになっているMXR版のCentaurと認めています。Sugar DriveはMXRサイズよりさらに小さい水色の筐体で、当時はペダルの小型化を進める動きが強く、One Controlや特にMOOERなどのアジアのメーカーが積極的に小型化を進めていた印象があります。持ち運びをし、ボードの限りあるスペースを考えると小型化は強力なストロングポイントを持っています。
ただ、私個人としては小型のペダルを並べると互いのフットスイッチの位置が近すぎる。接地面に対する筐体の高さがあるため、固定しないとシールドに引っ張られて倒れてしまう場合がある。設置されたノブ多いほど、動かすノブは小さくなり、視認性や細かな可変が難しくなる。電池スペースはまず確保されていない。審美的には構造上イン・アウトのジャックをずらす必要があり、プラグの位置が左右でアシンメトリーになるのが好みではない。
小型ペダルは個人的に苦手な筐体であり、Sugar Driveも当時から筐体サイズが原因で私の購入リストから外れていましたが、4年後にMXRサイズ化されました。昨今のMXR製品でミニチュアサイズからMXRサイズを販売したのは本機のみです。
モデル名のSugarはCentaurに表現される甘く艶やかなトーンを連想しますが、当時人気のあったSweet Honey Overdriveへの意識も考えられます。Fat Sugarは元になったSugar Driveよりも筐体が大きくなったことに由来しているだけではありません。公式のMXR・Jim Dunlop側の『Sugar Driveのサウンドをクラシックな筐体サイズで実現』とあるように基本回路自体は同じですが、コンポーネントの変更は確認できました。ミニ筐体のSugar Driveと本機Fat Sugarは基板サイズに余裕が生まれたこともあり、Sugar Driveでは表面実装のダイオードでクリップしていたD1、D2がFat Sugarではスルーホールのゲルマニウムダイオードに変更されています。Centaurの歪み部分はここのダイオードクリップによる影響が大きく、Klonのビル・フィネガン氏もただのゲルマニウムダイオードではダメだと過去に証言しています。一般的にゲルマニウムダイオードを使用したクリップでは音が飽和され、スムースで太くなるとされていますが、MXR側からはこの変更部分を強調したセールスは行っていません。
コントロールはボリューム、トーン、ドライブの三つ。内部にバッファ切り替えスライドスイッチがあります。
操作性ですが、元になったSugar Driveは筐体側面のスライドスイッチで切り替えることができ、本機は裏蓋を開閉して切り替えなければならず、利便性は低下しています。ですが、パーツ面が表を向いているので、裏蓋を開ければダイオードの変化に一目で気づけます。
説明書には全てのノブを12時にして開始とありますので、セッティングで試したところ音量は原音より高いです。これは比較に使用したCentaurと比べても高い設定となっています。ドライブを最小にしてブースターとしての用途で試すとユニティゲインは10~11時頃、トーンは12時で原音より分離が良く聞こえるクリーンが再現出来ました。昇圧回路が組み込まれているだけあってドライブが最小でもしっかりと音量を稼ぐことができました。
ドライブはゲインです、12時ポジションだと原音に僅かに歪みが乗っている感じで、アンプの歪みに+αで乗せるには程よい加減だと思います。流石に2時くらいになると歪みがしっかりと出てきますのでペダル単体でオーバードライブとして使えます。本家Centaurより歪むのかなと思いきや、割と素直な可変幅で同レベルの歪みまでに留めてあります。ですが分離の良さはCentaurのが軍配が上がります。
トーンですが、説明書にある通り12時がフラットポジションです。これは本家Centaurと同じです。ただし効きが良く、左に回しすぎると低域の主張が強くクリーンミックスがされていても少しぼやけた印象。逆に高域側も最大では低域が落ちすぎてCentaurと同じ位置で比較すると帯域が抜けていて物足りない感じがします。
内部のバッファ切り替えは、下がトゥルーバイパス、上がバッファードバイパスです。この切り替えによるペダルオン状態の音色の変化はありません。バッファードバイパス時の方が僅かに高域の明度が改善されるような気がしますが、切り替えを何度も試したうえでそんな気がする程度の変化なのでプラセボ感は拭えません。大量にペダルをつないだり、シールドの長さが何10m以上の激しく原音が劣化した際には効果を発揮します。出荷時はオフ状態のトゥルーバイパスに設定されています。
Klon Centaurと比べたところ割と素直に作られていて、歪ませた場合はトーンの設定が極端に寄っていなければブラインドテストでは難しいくらいの再現度でした。ただし細かいディテールが違う箇所があり分離の良さは断然Centaurです。クリーンの高中域の艶感もCentaurの方が若干強く感じますが、Fat Sugarも健闘しています。
本機は現在も生産しています。2018年に発売したミニ筐体Sugar Driveは大手大企業が販売するKlon Centaurスタイルのペダルとしては、2013年年末に発売したELECTRO HARMONIXのSoul Foodから5年の遅れをとって市場に投入され、最小サイズのCentaurとして話題にはなりましたが、Soul Foodが市場に投入されたときほどのインパクトは残せませんでした。ですが、私はこのピンクにスパークルが入ったFat Sugarは近年のMXR製品でも特に欲しいと思った製品の一つです。余談ですが、BGMが最高なベネズエラの「VA-11 Hall-A」というゲーム内にSugar Rushというカクテルが出てくるのですが、その色合いと名前が似ていることも購入の動機の一つです。Sugar Rushは糖分を過剰に摂取したときに起こる、興奮や多幸感から来るブースト状態を意味します。
.jpg)

.jpg)