LOVEPEDAL David Allen BAZOOKA

LOVEPEDAL David Allen BAZOOKA
LOVEPEDAL David Allen BAZOOKA 全体像

2014年製 アーミーグリーンのMXR筐体 赤LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックサイド 9V駆動 黒いプリント基板 表面実装 内部表記PCB-00476-03

裏蓋を開けると2010年代LOVEPEDALお馴染みの黒い基板、開いてみると表面実装を採用した基板です。レンジポットの真下に設置されているため、確認しづらかったですがオペアンプはTexas Instruments製RC4558Pを使用しています。ドライブとLOADスイッチ側にリファレンス番号D2が一つだけ確認できました。

このペダルはLOVEPEDALと筐体に明記されていませんが、LOVEPEDAL製のペダルとして扱います。カリフォルニアのピックアップメーカーDavid Allen PickupsとLOVEPEDALのコラボによって作られ、設計は両チームによる合作とされていました。

David Allen Pickupsはピックアップメーカーとしては高級ラインに入る企業ですが、日本ではあまりなじみがないメーカーだと思います。カントリーやロカビリー、ブルースロック向けのクリーンからクランチによるニュアンス重視のピックアップを得意としています。David Allen Pickupsの公式HPを確認すると日本にも代理店としてゼンブジャパンが取り扱っているようですが、ゼンブジャパン側にはラインナップに表示されていないため、現在も代理店が続いているかは確認できません。公式によると、単なるヴィンテージのコピーではなく、ミュージシャンやビルダーとの協力によってカスタマイズされたUSAハンドメイドを売りにしています。そんなピックアップ専門メーカーが初めてペダルを作ることになり、その協力先としてLOVEPEDALが抜擢されました。

デザインはアーミーグリーンに特徴的なノブの名称、本機のBAZOOKAという名称からもミリタリーな弾道学に基づいているようです。Elevation(ボリューム)は砲身をどれだけ持ち上げるかの射撃角、Chatter(ゲイン)は発射時の砲身の振動によるブレ、Range(トーン)は距離や弾道を意味しています。3ポジションの切り替えスイッチにはLoadと記されており装弾する弾薬を選択するといったニュアンスです。フットスイッチ下には小さく赤文字でFIREと記されています。
要約になりますが、メーカーの説明書に目を通すと、ブラウンフェイスのフェンダーアンプのようなミッドレンジを基調としながらも、マーシャルのような力のある歪みも兼ね備えたオーバードライブで、RangeとLoadスイッチによって高域・低域を押し上げることで、より幅広いトーンに対応可能。

コントロールはElevationエレベーション(ボリューム)、Chatterチャッター(ゲイン)、Rangeレンジ(トーン)、Loadスイッチです。

弾道学の弾道計算に基づいて考えると、Loadスイッチの解説からはじめます。

Loadスイッチは上下切り替えの3モードスイッチとなっており、説明書に従えば、アンプのキャビネットのサイズのシミュレートのようなイメージとなっています。実質ここが、このペダルのサウンドの根幹を選択する場所となるので、最初に選択することが理にかなってます。

中央が1x12キャビネットモード、一番クリアですが平坦にも感じられます。歪みはオペアンプのみで作っているような原音がそのまま割れていくような歪みで、歪ませて使うには向いていない印象を受けました。
上が2x12キャビネットモード、中央ポジションに中低域が加わり、歪みにアンプらしい力強さが加わります。歪みの質にも変化が感じられます。歪ませて使うのであればこのモードをお勧めします。
下が4x12の密閉型キャビネットモード、上ポジションにさらに低域が加わり、アンプが震えだしますが歪み方はそのままです。私の印象では太いというよりも、全体がぼやけてしまっているように感じられ、この低域は他のコントロールでは調整することができないため、一番扱いづらい印象を受けました。ピックアップメーカーが拘りそうなピッキングニュアンスも発射した硝煙の向こうに潜めてしまったように響いてきません。
Elevationはボリュームです。Loadスイッチの影響を強く受けます。キャビネットが大きくなるにつれて基本音量も上がります。
Chatterはゲインです。どのモードもなだらかに可変するコントロールで12時付近まではあまり歪みません。特にLoadスイッチ中央のモードでは歪まず、3時以降から硬く荒れた歪み方をします。このモードは歪ませることには向いていない印象を受けました。
Rangeは高域調整が主なトーンです。左に振り切った最小がユニティで右に回すほど高域が上がります。あまり効きは良くないですが、Loadスイッチを切り替えるとローが伸びてくるため、ある程度上げて使用することになると思います。左がユニティとしていますが、エフェクトオフ状態のクリーンと比較してみたところ、原音より若干痩せているように感じられます。

総評は、Loadスイッチ真ん中はローゲインで、上はオーバードライブとして使用するのが良いと思います。下のモードは低域が出すぎて使い道が限定されます。作れる幅が広くはあるのですが、全体的にピックアップの良さを引き出したり、強調させるような作りに特化しておらず、方向性が定まっていない印象を受けました。私はLoadスイッチ上にしてRangeも最大付近まで上げたオーバードライブが一番好印象でしたが、オールド・ビンテージ調な路線を行くピックアップメーカーが出すエフェクトペダルとしてはイメージの乖離があるんじゃないかと思います。

LOVEPEDAL David Allen BAZOOKA PCB

本機は現在生産終了しています。David Allenの日本での知名度がそこまで高くなかったにも関わらず、本機には代理店のミュゼットのシールが貼られており、日本国内でも販売がされてました。生産は初年度の最初のロットのみでストップしており、再販もされていません。これには発売後の市場の反応があまり良くなかったこともありますが、コラボ元のDavid Allen Pickups側が本機の作りにあまり納得しておらず、発売後直ぐに、改訂版のBAZOOKAをDavid Allen Pickups側から発売する予定があるとアナウンスしたことを覚えています。改善させたいポイントは歪みの質の変更や、強すぎるベースを抑え、よりクリアにピックアップの繊細なニュアンスを表現でき、自社のピックアップとのシナジーを感じられるようにリビルドするといったDavid Allen Pickups側の主張がありました。そういった背景もあり、本機はLOVEPEDAL側の個性が強く出すぎてしまっているため、私はLOVEPEDALのペダルとして扱っています。
David Allen氏からリビルドされたDavid Allen BAZOOKAは、極少数ですが中古での流通が確認できます。基本コントロールは変わりませんが、内部基板はスルーホール型プリント基板に変更。抵抗材は金属被膜で統一してます。対称クリップと思われるダイオードにオペアンプはTL072CPに変更され内部にはRav2.0の表記があります。なお、こちらのDavid Allenリビルド版BAZOOKAも既に生産は終了しています。David Allen Pickupsはこのリビルド版の生産後から数年後、運営が不安定な時期に差し掛かり、一時はHPを閉鎖して廃業を疑われていましたが、活動再開後は主力のピックアップの製造に注力したためペダルの生産は終了しました。