2014年製 アルミにプリントを直貼り MXR筐体 赤LED サイドジャック 内部スイッチでトゥルーバイパスとバッファードバイパスに切り替え可能
DCジャックは筐体上部 9V駆動 電源アダプター付属 緑のプリント基板 表面実装 内部表記 EC-D103 Rev.C
オペアンプはTL072Cが2基、チャージポンプ用のTC7660SEが1基の計3基搭載されています。クリッピングには半田面側にショットキーダイオード(シリコン)が二つ使用されています。ボリュームには小型の2連ポットを使用してあり、Centaurに基づいた構造が確認できます。フットスイッチ側の基板に付けられたスライドスイッチでバイパスを選択できます。
基板には2013とあるように、本機は2013年の年末に発表されたエレハモのNanoシリーズの新商品として発表されたKlon Centaurをモデルとした低価格・大量生産モデルです。この発表は世界中で反響を呼び、日本でもいつ買えるようになるのかと話題になりました。2013年はエレハモが主にこれまでの既存の大型ペダルをMXRサイズに小型化して展開していたNanoシリーズから、他社のエッセンスを取り入れた歪みに力を入れ、多くのペダルが作られましたが、2013年のトリを飾ったのも本機Soul Foodです。
私の当時の記憶では、Nanoシリーズの評判はマニアの間ではあまり良くなかった覚えがあります。エレハモといえば薄い鉄製のシャーシを折り曲げて作られる大型ペダルがトレードマークで、Big MuffやPoly Chorus、さらに大型の物ではHOGやPOG、小型の物でもHoly Grailなど。筐体自体はシャーシが薄いため軽いのですが、強度は弱く、特に印刷されたフォントやピクチャーは簡単に削れてしまいました。これらのペダルは私も集めていた時期があるので分かりますが、一点一点が大型で、機材を購入したときの満足感は他のペダルよりも高かったです。部屋が大型の機材で埋まっていく楽しみがありました。旧筐体ファンからすると、2009年から始まった小型化されたNanoシリーズは表面実装を多用し、パーツグレードを落とした廉価版でしかないという烙印を押されていました。私もNanoとオリジナル筐体の違いは当時から比較して感じていました。しかし、低価格帯のペダルとしてはこだわりのない一般ユーザーからの売れ行きは良く、2013年から本格的にNano筐体で、新作を発表するようになっていきます。
Soul Foodの意味は、日本では地域を限定しない津々浦々の郷土料理など、馴染みのある地元の味を指しますが、アメリカではフライドチキンやコーンブレッド、プルドポークなど、「南部の黒人文化に根付いた、限られた素材で、最大限の栄養とおいしさを引き出した日常的郷土料理」を意味します。本機にはそれらを提供するキッチンの看板のようなフォントがプリントされています。エレハモの公式な説明によると、高価で手に入らないCentaurの実態を知ったエレハモ創業者マイク・マシューズ氏は、飢えたミュージシャンに素晴らしいツールを提供するために、開発チームにSoul Foodのように手軽な価格で誰でも手に入るようなCentaurの設計を発案し、誕生したのが本機とされています。
コントロールはボリューム、トレブル、ドライブの三つ。内部にバッファー切り替えスイッチがあります。
同じCentaurがモデルになったMXR M94SE Fat Sugarでは全て12時スタートしたため、同じく12時でセッティングを開始しました。12時ポジションでの出音はCentaurノンピクチャーと同じ音量、ゲイン、EQ位置とほぼ一致しており、しっかりと研究されて作られたことが分かります。私の環境では若干音量が高いため、10~11時頃まで下げた位置がユニティゲインでした。ゲインを0、ボリュームは最大でEQは12時のフラットで試しましたが、ハイコードでの厚みが若干違う程度です。ですが、トレブルを低域側の左へ回すと音が丸く、解像度が低く感じられる違いがありました。これも極端にトレブルを絞った状態に近づくほど差が表れます。稼げる音量はCentaurとほぼ同じです。
ドライブはゲイン調整です。0にすれば歪みの無いクリーンになります。ドライブ12時付近まではノブの位置がCentaurと同じ歪み具合に聞こえます。しかし、最大付近ではCentaurより歪みます。バリッとした高域に特徴が出ておりCentaurより元気があるブライトな歪みですが、音の密度が高く全体的にまとまっていているのはCentaurです。
トレブルは12時がフラットです。低域側の丸み、人によっては温かみにも取れるかもしれません。クリーンでは基本的にはCentaurと同等の可変幅です。ゲインを歪ませて使用する場合は歪みのブライト感に強く影響し、ドライブ・トレブル最大値設定はFat SugarやCentaurでは再現できないエッジの効いた歪み方をします。
内部のバッファ切り替えは設定にかかわらず、エフェクトオンの出音に影響を与えることはほぼ皆無です。私はこのバッファーの効果は限定的なものと捉えており、Centaurが開発・生産された当時90年代のような足元にペダルは少ないが、ステージで長尺なシールドを引きずって動くため、信号がある程度劣化してしまうプロの現場では効果はあるものの、現在のようなエフェクトを大量にボードに設置した際のバッファとしては力不足であると、実際のCentaurやKTRなどでも感じています。当然、信号劣化があまり起こらない環境下の比較では、バッファあり・なしの差は殆ど感じられません。
本機は現在も生産しています。価格は現在2026年で新品14000前後です。定価は上がりましたが、現在のCentaurの価格と比較してもまだまだ手頃の価格を維持していると思います。低域を補強したBass Soul Foodもまだ生産されています。こちらはベースギターだけでなくギターとも相性が良く、JHSがMODした“Meat & 3” Modよりも、ブレンドコントロールの効きが良く対応できる幅の広さで優れていた印象があります。JHSの3スイッチMODは、当時流行っていた改造のパターンの一つで、クリップをトグルスイッチで3モード(無改造状態・クリップオフ・追加したゲルマ)に選択可能にします。Soul Foodは本家Centaurと違い、ゲルマニウムダイオードを使用していないため、よりオリジナルに近づける改造となっています。
当時のKlon Centaurといえば中古でノンピクチャーで5~6万、ゴールドの絵付で10~13万で買えました。現在のCentaurの高騰は驚異的に見えます。エフェクトペダルの価格には壁が存在しており、当時は3万を超えるような物でも高額商品として扱われていましたので、10万を超えるペダルはやや冷ややかな目でも見られていました。そしてCentaurいえばしっかりとモールド処理がされており、超高額な機材を破損してまで解析する方は少なく、解析の詳細は秘匿されていました。2009年ごろから真意不明の回路図も含みますが、ネットに情報が広がり始め、徐々に解析が進んでいきます。ドイツ製のBANZAI Cold Fusionなどこれはクローンでは?もしくはZOOM PD-01のようなCentaurに近い音がするという評判のペダルもありました。2010年頃から販路も限られていた一部のガレージメーカーからポツリとポツリとCentaurめいたペダルが高額な値段で販売されているなか、名も知れた大企業エレハモが世界的に、回路に基づいたCentaurを1万円以下で売り出すインパクトはすさまじく、一時は品薄で高騰も発生していました。

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