tanabe.tv 禅駆動 ZENKUDO

tanabe.tv 禅駆動 ZENKUDO
tanabe.tv 禅駆動 ZENKUDO 全体像

2012年製 黒いケースにアワビトップパネル MXR筐体 サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックと3モード切替スライドスイッチをインジャックサイドに設置 9V駆動 プリント基板 
オペアンプはJRC4558DDがソケットにマウントされています。MOSFET 2N7000を2石使用していることが確認できます。モード切り替えにてLEDやダイオード、MOSFETが選択ができる仕組みのようです。基板はポットと筐体にグルーガンでしっかりと固定されているため、詳細なレイアウトまでは未確認です。仕様は違いますが、このクリッピング切り替え3モードというと当時日本で大流行していたLandgraff DODを思い出します。
筐体が黒く、グラフィックをパネル式にしているのはZendriveとの共通点です。また、モデル名の禅駆動もZendriveを和訳したものです。しかし、漢字で禅駆動と表記したのはインパクトが強く、本家の太極図より名前に馴染んだ外観に感じられます。パネルにはエフェクトペダルではあまり見られない貝殻を薄くスライスしたシートが貼られており、当時流行っていたLandgraff風マーブル塗装っぽさがありつつも、高級感があります。さらに、ノブの機能を明記している点も好印象です。ノブの名称ひとつにしても、ペダルの操作性やビルダーの個性を出せる重要なポイントだと私は評価しています。

tanabe.tvは田辺敏彦氏が個人で運営している日本の小規模ペダル会社です。私の記憶違いだったら申し訳ないのですが、当時のZendriveはとても希少なうえに高額でしたが、その回路自体は解析が進んでおり、ネットにいくつかそれらしいものが上がっていました。ビルダーの田辺氏は自分で作ってしまえの勢いで制作に取り掛かり、改良を加えた結果、より良いものができた自信から販売に至ったという趣旨のエピソードが、起業した切っ掛けだったと当時のHPに記されていた覚えがあります。その後、Zendriveの人気に火をつけるきっかけになったロベン・フォードやラリー・カールトンが購入し、実際に使用していたことから注文が世界中から入るようになりました。販売も自身のHPのみで行っており、バックに大きな営業や販路を持たない個人作家では、今でも海外で異例の知名度があります。

コントロールはボイス、ボリューム、ゲイン、トーン、3モード切替スライドスイッチ

ボイスは右に回すほど高域が強調され、ゲイン設定が高い場合は影響があまり感じられませんが、低い場合はゲインも上がります。Zendriveのボイスノブとほぼ同じ働きをします。私はZendriveだと最初にこのノブを調整して土台を作りますが、禅駆動では先にモードを選んでからこのノブを調整します。

ボリュームは可変幅が大きいポットを使用しています。左に回し切ると完全にミュートされます。ユニティゲインは切り替えたモードやゲインによって前後しますが、十分な音量は稼げます。
ゲインの最大ゲインはZendriveよりやや低く感じます、ウォームでまとまりのあるオーバードライブで、落ち着いた感じがあります。右に最大に回してもノイズはZendriveより抑えられており、ポットのカーブが緩やかに効きますので、歪みの細かい設定が可能です。
トーンは高域をカットして低域の出方を調整する仕組みで、Zendriveと同様の効果です。

Zendriveと大きく違うのは筐体側面に付けられた3モード切替スライドスイッチです。
側面にトグルスイッチを付けた製品はありますが、切り替えの誤動作や破損につながるため、私は好きではありません。こちらはスライドスイッチを採用していることにより、それらの不安が解消されており高評価です。モードは切り替えると同時にLEDの色が変わります。LEDの色で現在のモードが視覚的に確認できるため、側面スイッチ位置を確認する必要が無く、理にかなっています。上から赤色マーシャルモード、中段が青色禅駆動モード、下が緑ダンブルモードとなっています。基本的にはクリッピング回路を切り替えるスイッチとなっています。モードによる私の感想は、

・赤色マーシャルモード: 高域が出て明るく感じる、若干硬く、コンプレッションを感じる。
・青色禅駆動モード: 音量が下がり歪みが強く感じるが、音量調整するとそこまで歪んでいるわけではない。
 歪みにざらついた倍音が付与されZendriveとは全く異なる音になる。
・緑色ダンブルモード: 高域のバランスが良く、低域がある程度際立って聞こえる。
 オープンな響きで一番Zendriveに似ている。赤色のマーシャルモードとの音量差は無い。

私は緑のダンブルモードが好みですが、赤色のマーシャルモードとの差はそれほどない。Zendriveと同じ青色にLEDが点灯する禅駆動モードですが、異質に感じられるほど歪みの倍音成分が違うので驚きました。このモードは好みが分かれると思います。

tanabe.tv 禅駆動 ZENKUDO 内部基板

禅駆動 ZENKUDOは今でも生産されております。発売から20年近くが経過した現在も田辺氏お一人で運営を貫かれているようです。禅駆動をシングルコイル用にゲインアップした弾駆動 DUMKUDOも人気モデルの一つです。

最後にメンテナンス上の補足ですが、トップに貼られたアワビシートは経年劣化の可能性もありますが、水分に弱く、水気があるものでパネルを磨くと塗膜が溶ける可能性がありますので、クリーニングの際は注意して行ってください。