2007年製 チェリーレッドのMXR筐体 青LED サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはアウトジャックのサイド 9V駆動 2モード切替スイッチ プリント基板表記V5
ゲルマニウムトランジスタを1石使用していますが、本機はヒートシンク付きのパッケージに表記がありません。ソケット式で基盤に接続していますが、トランジスタを粘着シートでしっかりと固定されており、外すことはできません。調べたところ、2003年にロバート・キーリー氏が本機の回路解説を投稿しており、その中でトランジスタにはAC187の使用を推奨しています。2007年以降のFuzz Headにも形状は異なりますがAC187を使用していますので、おそらく本機もAC187だと思われます。シリコントランジスタには、FAIRCHILD製MPSA18を3石使用しています。抵抗材は金属被膜で統一されています。
本来は交換可能なフィルムコンデンサが付属しますが、中古購入のため付属していませんでした。交換可能なソケットには標準で273と記された0.027uFが刺さっています。高域を強調させるため低域をカットする場合は153と記された0.015uFを、低域を分厚くしたい場合は333と記された0.033uFに交換することによってキャラクターを変化できます。使用しているコンデンサはパナソニック製ECQ-Pシリーズです。さらに低域が欲しければオプションで別のコンデンサもKeeleyで販売していました。
本機のソケットに挿入されたコンデンサを確認したところ563です。前のオーナーがオプションで購入されたようで、標準の2倍以上の値になっています。ソケットにコンデンサが入っていない状態では音は鳴りません。本機は563を使用してのレビューとなりますので、出音のに関してはあまり参考にならないかもしれません。
コントロールはファズ ヘッド(ボリューム) シリコン/ゲルマの切り替えトグルスイッチ
内部にゲインコントロール ローカット式トーンコントロール
ヘッドことボリュームノブは、本機がゲルマを使用したトレブルブースターから発展したこともあり十分な音量を稼ぐことができます。
ファズはゲルマらしいウォームでどっしりとした低域が出ていますが、そこまでぼやけた印象はありません。標準の273コンデンサで使用した場合は、説明書にあるようにオーバードライブ的な低域を抑えたスッキリとした音だったかもしれませんが、563はしっかりと低域が主張してきます。
モード切替スイッチは、左側がシリコンモードでシリコンダイオードによるクリッピングを通過するようになります。若干音量が下がりますが、歪みの明度が増し、クッキリとした音へ変わります。コンプ感があり、低高域がまとまったオーバードライブ的なサウンドです。
右側はゲルマモードで、ダイオードクリッピングを使用しないモードです。コンプ感が無くオープンな歪みで、ゲルマらしい飽和感があります。音量差は多少はありますが、ギター側のボリュームノブなどの操作を加えれば気にするほどではありません。ボリュームに対する追従性もあり歪の量を調整することが可能です。鈴鳴りクリーンはあまり得意では無いと感じました。
このペダルには効果的に作用するノブがあるのですが、それは内部にある縦に付けられたオセロの駒のような色をしたトリマー、これはトーンコントロールです。
上に回すとトーンを絞った状態ですが、下へ回すとローがカットされ高域が強調されていきます。低域が強調された563コンデンサを使用していても、エッジの効いたディストーションが作れます。ただし、ローカット側に回すと若干ですがノイズも目立ってきます。
ゲルマニウムトランジスタの上部に位置するのがゲインコントロールです。矢印が12時を示す位置が標準位置で、ここから右に回すとゲインが上がり、左に回すとゲインが下がります。
この内部の二つのコントロールは、表にあるトグルスイッチのモード切替以上に本機の音に影響があります。中古購入した際は、ソケットのコンデンサ以上に内部の位置を確認した方が良いです。トーンコントロールの標準位置は分かりませんが、本機はあらかじめ最小側に絞ってありました。若干ローカット側に回したところ、563特性の強い低域を抑えることができました。トーンコントロールには中央値を分かりやすくするための矢印があり、スライドさせる黒側の出っ張りが目印です。
本機は設計者のキーリー氏曰く、ファズとオーバードライブの融合です。ファズの荒々しさと、オーバードライブのアンプライクな特性を共存させることをコンセプトに作られたオーバードライブファズペダルです。
しかし、このペダルはファズフェイスと勘違いしている方が多く見られます。筐体カラーが赤と青があり、モード切替がシリコンとゲルマとされていることから、どうしてもファズフェイスのイメージに引っ張られてしまい、基本コントロールもファズとボリュームだけなのも、その印象を強めてしまう点だと思います。内部のトーンやゲインを表に出しておけば、こういった勘違いが起こらなかったのではないかと思われます。
コンデンサの付け替えによる低域の調整なども含めて、玄人向けな作りとなっています。説明書を読まない直感的な人が多いギタープレイヤーには早すぎたペダルだったかもしれません。本機は既に生産終了しております。
初期型の赤い塗装のみのシンプルなV1にはじまり、カラーバリエーションに青や白があります。メタルノブを使った時期もあります。本機は一番多く流通したデザインの赤版で、青版と内部的な違いはありません。後継機にトーンノブを表に追加し、トグルスイッチの切り替えモード等内部にも手を加えたSon of Fuzz HeadやゲルマニウムトランジスタにOC44を使用した限定モデルFuzz Head OC44も販売されましたがいずれも生産終了しております。


