Hermida Audio Zendrive


Hermida Audio Zendrive

Hermida Audio Zendrive 全体像
2007年製 アルミフロントパネルにHermida Audio表記無し MXR筐体 サイドジャック トゥルーバイパス
DCジャックはインジャックのサイド 9V駆動 緑のプリント基板 一部モールド処理あり
オペアンプは削られており詳細は分かりません。内部はクリッピング部分にモールドが施されております。有志の方の回路解析によるとクリッピングにダイオードとMOSFET 2N7000による非対称クリッピングにて歪ませているようです。所謂、ダンブル系、ダンブルインアボックスと呼ばれるペダルのオリジナルとなった機種です。全てのダンブル系ペダルの元がZendriveとは一概には言えませんが、基板のパーツ点数の少なさに、構成するコンポーネントの入手しやすさから、このペダルを派生させたペダルが数多く作られました。
ピクチャーは若干楕円に描かれた陰陽、古代中国の道教由来の陰と陽の調和を現す有名なアイコンですが、名称の由来になっている禅は仏教由来の思想です。

Hermida Audioはアメリカ、フロリダ州にてAlfonso Hermidaアルフォンソ・ハミーダ氏により起業されました。高額な機材を買う余裕がない高校生の頃からエフェクターを自作しており、エレハモに入社を希望していたのですが、大学入学と同時期にエレハモが倒産してしまい、機械工学の修士号を取得後にNASAでエンジニアをしていた経歴を持つ方です。
そんな彼をペダル制作の道に再び戻ることのきっかけになったのがロベン・フォードによるビートルズのGolden Slumbersのインストアレンジ曲です。この曲のトーンをハミーダ氏は気に入り、再現しようと長年研究して作られたのがMosferatuというMOSFETを使用したオーバードライブです。長年の研究の中、ロベン・フォード本人とやり取りをするようになり、高ゲインに寄りすぎたMosferatuを改良して生まれたのが本機Zendriveです。2025年に公開したロベンのボードにも使用されており、アルミパネルの傷からも長く愛用していることが分かります。そのほかのラインナップに真空管を使用したZendrive2も製作されました。こちらはエリック・ジョンソンの使用で知られています。

コントロールはボリューム、ゲイン、トーン、ボイス

ボリュームはゲインの量に比例して上がります。ゲイン最大でボリューム9時ごろがユニティ位置になり、ゲインを下げてもボリューム位置次第で十分な音量が稼げます。
ゲインは甘いクリーンからジャリッとした歯切れのいいクランチまで可能です。ロベンやEJのようなヴァイオリントーンの印象を持たれる方が多いですが、想像以上に歪ませることができます。トーンはミッドフォーカスされた原音に対するローパスフィルターの働きをします。左に回すほど高域がカットされていき低域が強調されます。このペダルでやや難解なのがボイスノブで、このツマミを右に回すほど高域が強調されつつ、歪みが増していきます。ペダルのキャラクターベースを定める機能を持っていますので、まずボイスで土台を作ってからゲインやトーンを調整、使用しているアンプとの兼ね合いも考慮して音作りをするとよいと思われます。その後、再度ボイスで微調整してみるのも良いでしょう。

本機はアルミフロントパネルを使用したハミーダ氏自身が製作したZendrive初期型になります。外観的な特徴はHermida Audioの表記が無くZendriveとだけ書かれており、ドーム型のLEDや位置によって見分けがつきます。最初期品は白いパネルが使われており、ムラのある塗装でいかにもハンドメイドな仕上がりでした。2012年頃の過渡期に作られたZendriveにはアルミフロントパネルにHermida Audio USAと表記されるようになります。いずれも内部に小さなプリント基板がモールド処理されて入っていれば初期型と言えるでしょう。
2012年頃までハミーダ氏によって製作されていましたが、経済的な理由とより安定した生産体制の確保のため2012年の7月以降からLovepedalの傘下に入ります。その頃は当時の海外のフォーラムに、カラーバリエーションに伴い微々たる違いを謳ったZendriveシリーズが大量に発売されるぞという冗談めいた書き込みがあったのを覚えています。Lovepedalはその微々たる差(実際に差があったかどうかも分からない品もありました)で商品バリエーションを作ることで有名でした。アルミパネルを使用しないZendriveを最初に発売して以降は、予言は的中します。通常よりゲインアップした側面の赤いレッドドット、通常の2倍のゲインを謳った黒いブラックマジック、ゲインを上げて真空管を使用したZendrive2にアプローチしたとされる金色のZendriveⅡゴールドなど。多くのバージョンでアルミパネルを使用していませんが、Hermida Audio USAと記されています。LEDの位置は陰側・陽側と時期により位置はバラバラです。円柱型のLEDキャップのものが多いですが、ドーム型も存在します。内部は後期Lovepedalの特徴である表面実装を使用したコンポーネントが見えない赤いプリント基板が全面に貼られています。
Hermida Audio Zendrive 内部基板
私は実際にHermida製とLovepedal製のZendriveを比較したことはありません。ですので大方に評価されている、ハンドメイドで作られた初期型の方が優れているという評価を下すことはできません。ただし、ロベン・フォードやラリー・カールトン等が使用して、その人気が過熱していた時期はLovepedal製作に入る以前のものだったことは事実です。Lovepedal傘下後は生産数が増加し供給は安定しましたが、先のマイナーチェンジを伴うカラーバリエーションによる乱立以降、徐々に人気に陰りが出てきた印象があります。そして、この時期のオーバードライブ市場は、他社から優れたペダルが次々と評価されはじめた時期でもありました。
当時Hermida Audioでは$199で販売されていましたが、生産が追い付かず中古市場で倍以上の値段が付けられて転売されていました。価格は少し上がりましたが、現在はLovepedalが製造を担っており、時期ごとに細かな仕様変更が加えられたものが生産されています。