ANALOG.MAN Sun Face NKT275 White Dot HG

ANALOG.MAN Sun Face NKT275

ANALOG.MAN Sun Face NKT275 全体像

2008年製 シャンパンゴールドのMXR筐体 LEDなし トゥルーバイパス
DCジャック無し 非アルカリ電池使用推奨 9V駆動 オプションで追加したサンダイアル付きの3ノブ仕様
ゲルマニウムトランジスタ NKT275 Whitedot HiGainを2石 ファズ量調整内部トリマが指でつまんで操作できる(内部トリマは簡単に破損するため、安全を考慮してピックを溝に挿して回した方が確実です)比較的初期の個体
ファズフェイスの良質なペダルといえば、真っ先に挙げられるのがSun Faceでしょう。

ANALOG.MANのHPによると、最初にNKT275 Red Dotを販売し、数か月で完売。
その後NKT275 Whitedotを見つけて2011年に完売。再度見つけたNKT275 Reddotは2015年に完売。代わりに275ではないNKT Reddotを再度販売したものの、2020年に完売しており、現在NKTは取り扱いが無い状態です。Redの販売期間が長いですが、トランジスタの大きさや表記が異なるため、年代と合わせていつ頃のSun Faceか判別ができます。年代によって音の傾向は違いますが、各ロットを選定してハイゲイン傾向とローゲイン傾向に分けて作られています。

なぜNKT275が求められるのか、端的に言えば1960年代のオリジナルファズフェイスに使われていたのがNKT275です。英国の半導体製造機企業Newmarket Transistorで60年代初頭に作られたNKT275は、ゲルマニウム製ということもあって製造過程で誤差が出やすく、ロット内でも個体差がありファズフェイスに使える良個体は極僅かです。元々、ビンテージペダルの販売、修理をしていたマイク氏の元には当然プロのミュージシャンや米英問わないビンテージ品の修理依頼がくるわけで、修理用の確保に様々なルートを使ったとしても、一般販売に至る在庫を確保できていないのが現状です。

NKT275なら何でも良いわけではありません。どうしてもNKT275が欲しければ90年代のリュイシュー品のファズフェイスを開ければ代用品のNKT275(このNKTはNewmarket Transistor製である信憑性が曖昧です)を使用していますが、当時の人はこのリュイシュー品じゃ満足できなかった。当時のリュイシュー品はTSもそうなのですが、コンポーネントに対する意識が甘く、回路的には同等に作用すれば現行の代用品で生産していましたので、私の二回りくらい上の先輩方は改造・調整する方がとても多かった。


現在流通しているNKT275は枯渇してしまい高騰していますが、ラベル偽造で簡単に偽造できてしまうため、どこから入手したかも含めて明記されていないものを使用しているペダルは、アナログマンのような実績が信頼できるビルダー以外からは避けた方がいいです。

私の記憶では2010年頃は、まだアナログマンのオーダーにはホワイトとレッドどちらも注文可能で、ハイゲインとローゲインの選択もできた覚えがあります。当時の評判は、ホワイトは明るくクリーンが煌びやかで、レッドはダークでよく歪むじゃじゃ馬といった評価だったと思います。実際、ANALOG.MANのマイク氏の説明にもそのような傾向があったと記されています。昔はアナログマンのSun FaceといえばゲルマならNKT275 シリコンならBC108という選択で、今のように選択肢はあまりなかった覚えがあります。

コントロールはファズ、ボリュームにSun Dialことバイアス調整ノブの三つ。内部にクリーントリマが一つ。

ユニティゲインは2時ごろで、ボリュームは結構効きがよく十分な音量を稼げます。
ファズの方はほぼ最大まで上げて、ギター側のボリュームか内部トリマーで歪みをコントロールすることを説明書で推奨しています。ファズとギターボリューム最大ではゲルマらしくウォームさがありつつも高域がしっかり際立っており、シルキーな歪みでサスティンの余韻もよいです。同じゲルマ搭載のファズフェイスの名機Diazと比べると、Sun Faceの方がハイゲインバージョンということもあってかより歪みます。

ギターボリュームの追従はとても良く、少し触るだけでクランチから、高域が強調された所謂鈴鳴りが可能です。ボリュームを絞った時のクリーンの奇麗さは、Whitedotがとりわけ評価が高いだけあって、これと同等のファズフェイスを見つけるのは困難だと思います。

サンダイアルは、アナログマンのロゴでもある太陽が垂直にこちらを見ているポジションが出荷時点でのトリマ標準値になります。ここから右に回すとゲートが開いていき、歪みの質が荒く、より音が前に出ます。逆に左に回すと、歪がより細かくなる代わりに音が引っ込んでいきます。ゲルマの温度変化への対応として付けられたものですが、好みで調整して良いと思います。標準に戻したいときは顔の位置を元に戻せば良いだけです。

あまり使用されていない方も多いかもしれないのが、内部のトリマーです。
反時計側に回し切ってある状態が出荷時の初期位置なのですが、これはギター側のボリュームポットと似た働きをします。つまり、内部トリマを時計側に回すとペダル側のノブが最大の歪みが減少し、右に回すほどギターボリュームを絞った時のようにクリーンになっていきます。


それでは最初からトリマを回しておけば、ボリューム操作なしにフットスイッチをオンにしただけで鈴鳴りまでクリーンにできるのかというと、少なくとも本機のハイゲインバージョンでは不可能でした。
あくまで補正と考えた方がよさそうです。ギター側のボリュームコントロールの変動幅を狭めますが、その分おいしい場所を見つけやすくする。もしくはファズにハイゲインは求めていない、クリーン寄りの柔らかな歪みが欲しい方は操作してみるのも良いと思います。

私はバイアス調整やアクセスが不便な内部トリマーなど、出荷時の設定を見失いがちな要素は極力触りたくないタイプなのですが、このペダルは初期設定が分かりやすく、使う側に寄り添った設計でとても好感が持てます。オーダーもサンダイアルや、内部クリーントリマを表に付けるか、外部電源可能にするか、付けるLEDの色まで細かく設定できました。ただし、私が買った時はDCジャックとLEDはオプションで付けると音が変わるから付けないという方も多かったです。真相は分かりませんが……マイク氏自身もDCジャックは駆動はするけど構造上ノイズに弱いため非アルカリ性乾電池を使うことを薦めています。LEDを付けることにより元の音は変わらないけど電池の減りが急激に早くなるのは事実だそうです。電池駆動下での電池のへたりの速さは音質に影響がありそうです。

ANALOG.MAN Sun Face NKT275 内部基板

私はMXR筐体のペダルを主に蒐集してきたため、大型になりやすいファズでこれだけ素晴らしい名機を作っていただいたAnalog MikeことMike Piera(マイク・ピエラ)氏にとても感謝しています。彼の作るペダルの源流をたどって過去の名機を知りました。オレンジスクイーザー、ロスコンプ、スモールクローン、ブルースブレイカーなどなど。
ちなみに時より見られるピクチャーが時計に変更しているSun Faceは、ピンクフロイドのデヴィッド・ギルモアのTimeのソロに敬意を表して、無料オプションで変更可能だそうです。

本機に使われていたSun Face NKT275は既に枯渇しており生産は終了しておりますが、在庫のトランジスタを指定するカスタムオーダーや、即納モデルもあり、Sun Faceの販売は続けられています。サンダイアルオプションを付けても$220程度ですので、新興ブティック企業がファズフェイスの販売競争でアナログマンに勝つことは難しいと思われます。